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新生活 (3) ※R18

「珊瑚…っ! 俺と結婚して下さいっ!」 翔も仕事が忙しくなり、ようやく実現した結婚記念のディナーの席で翔は跪いて指輪の入ったケースを差し出した。 プラチナではなく、あえてゴールドの指輪を選んだのは珊瑚の髪色にはゴールドの方が合うと思ったのが一番の理由。 そして彼の祖父母の指輪もゴールドで、両親もゴールドだったと聞いて、家族の繋がりを意識した。 「……やれば出来るじゃん。 まぁ、もう結婚してるけどね。」 そんな風に、なんとも珊瑚らしい答えに翔も笑い、キスを交わした。 帰り道… 早速揃いの指輪を嵌めた手を繋いでアパートまでゆっくりと歩く2人…。 「仕事も…不安定だけど、なんとかなりそうだし…、珊瑚と共同の仕事もかなり評判いいからさ…そろそろ引っ越さない?」 共同の仕事というのは、元は翔が勝手に進めていたもので… 珊瑚の幻想的な風景写真をストーリー仕立てに映像のように組み立てて、そこに翔が打ち込んだ音楽をのせるというアーティスト作品だ。 音楽に合わせて切り替わる美しい写真はネット上でも評判で、今後の展開次第ではビジネスとして成功出来る可能性が出てきている。 珊瑚も乗り気だが、質素な今の生活に満足しているらしく、引っ越しの言葉には眉を寄せた。 「別にいいじゃん、今のとこでも。 何? 不満なの?」 「不満はないよ。隣のおばちゃん親切だし、美味しいパン屋も近いしさー!」 「じゃあ何で? ベッド?」 先日ついにバキッという嫌な音を立てたベッドの心配をしているのかと伺う珊瑚に笑う翔。 「あ、ベッドは新しいの欲しいねー(苦笑) 大きさ云々より頑丈なやつ買わないと…(笑) えっとさ、だって今のところじゃ4人は無理じゃん?」 「は…っ?!」 4人というワードに固まる珊瑚。 翔は饒舌に話を続けた。 「さっちゃん、こっちの学校の方がいいんだよね?専属の先生がついてくれたら安心して通えるよ。 病院も近いし、通院の負担も減らせる。 アッシュも…転校にはなっちゃうけど、こっちにくればチームの練習日増やせるよ。 せっかく誘ってもらってるんだからさ! 本人もやる気だし、もしかして本当にプロになるかもよ? あ、俺がクラブまで送り迎えするから。 俺の仕事は…LIVEも珊瑚が家にいる時だけにするし、他の仕事も2人が学校行ってる間だけとか、珊瑚が帰ってきてから行くとか、調整するから…大丈夫。 …ちゃんと事情話してるんだ。 珊瑚は今まで通りフツーに仕事行って大丈夫だよ。俺、料理は下手だけど、撮影で数日留守の間もちゃんと温かいものを食べさせるから安心して。」 「っ!!」 「レニちゃんは秋から下宿するんだよね。 医者になりたいってスゴいよ、本当に…! みんなで応援しないとね。 …寂しくなるけど、そんな遠くないって聞いたから車買えば会いに行けるよね? フィンは地元愛が強いみたいで…聞いた? 警察官になって地元を守りたいんだって。 空手習わせる代わりに家に残ってくれるって…ちゃっかりしてるよな(笑) まぁ、フィンなら本当にしっかりしてるし、もう自分のことは出来るから任せて大丈夫かな? アビーも実習大変みたいだけど、長期休暇には帰ってくるって言ってたし…おじいちゃんたち少し寂しいかもだけど…出来るだけ顔出そう! あ!新居にゲストルームがあれば遊びに来てもらったりも出来るよね! うん…、きっと、なんとかなるよ。」 「翔……っ!」 「だから…俺と珊瑚とアッシュとさっちゃん…4人で暮らせるとこに引っ越そう! あ!さっちゃんネコ飼いたいって言ってたねー?」 笑顔でそう告げる翔に珊瑚は言葉も出ずに抱き付いた。 道の真ん中でしばらく抱き合って、ふざけながら翔が珊瑚を持ち上げてくるくる回ると笑い出す2人… 「翔…、俺と結婚して。」 「…喜んで…っ! あ、もうしてるんだっけ? ヤバーい!俺ってスゲー幸せっ!」 「…それは俺のセリフ…。 …ありがと。」 幸せそうに微笑む珊瑚の顔を見て、翔も笑顔になった。 …ガタっ! 「ヤバイよ…」 自宅に戻り、まさに今、2人が愛し合っている時にベッドから聞いてはいけない音がした。 「ねー、ついに壊れた? 今バキッっていったあとガタって…!」 「聞こえたよね? え、これ…斜めになってない?(笑)」 「えー…マジか。 さすがセール品の安物…。 そういえば、組み立てる時にネジが一本なかったんだよな…。 え、…どーする?」 「とりあえず続きしていい? 俺もう我慢出来ないんだけど…」 切羽詰まった状態の翔は続行を決めるが… 「あっ、ちょ…っ! ん…。あ、ヤバイって…! マジで…全壊する…って!」 「っ!笑わせないで…! イケないからっ!(笑)」 「ん、もう…っ! 結局グダグダじゃん…!(笑) は、ぁ…っ!…ん。」 「ごめんって…! でも仕方ないよね?」 「…いーよ。 それでも…好き、だから…! あっ、もう…っ! 翔…っ、イかせて…っ!」 「珊瑚…っ! 俺も、…好きだよ。 めちゃくちゃ愛してる!」 End

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