56 / 120

最悪ライバル プルプル女 11

 彼となら結婚してもいいかな、なんて思った俺ってヤツはもうすっかりホモの仲間入り。しかも、エッチする場面まで考えてるなんて恥ずかしい……  だが、さっきのデマがいずれ土方さんの耳にも入るのでは、というところまで考えが及ぶと、背筋に悪寒が走った。ヤバイ、ヤバすぎる! 放っておいたら「男同士で婚約した筋金入りのホモ」のレッテルを貼られたままになってしまう、そんなの耐えられない。  俺が抱く土方さんへのヨコシマな想い、それを彼が受け入れてくれるなんて九十九パーセント有り得ないし、それどころか、嫌われる可能性百パーセントだ。だったらホモだなんて知られない方がマシ、彼の前ではノンケの後輩で通したいじゃないか。  このあと和室を使う団体があるとかで、同好会の練習は昨日よりも早めに終わった。急いで場所を空けなくてはならないので、大慌てで片付けをすると楽器を車へ運び込む。  駐車場は工学部校舎の東側にあり、その手前には最寄り駅との間を往復するバスのためのロータリー、そこを通って正門から出ると一般道の県道何とか号線だ。  俺が箏を運び入れた時、それを固定し終えた聖爾は運転席に移り「話があるんでしょう、だったらここで聞くから」と言うが早いか、俺の腕を取り、助手席に引っ張り込んだ。 「なっ、何するんだよっ?」  確かに、彼に対して文句を言うつもりだったのだが、強引なやり口への抗議など取り合わず、ヤツはこう言い放った。

ともだちにシェアしよう!