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最悪ライバル プルプル女 10

 いや、これ以上弁明したところでどうなるのだ。だったらあの写真は何だと追及されるのがオチじゃないか。怒りのファイヤースピリッツが萎えてゆく。ぎこちない空咳をして沈黙を破ったのは緑川教授だった。 「人の恋路を邪魔してはいけないよ、馬に蹴られて死んでしまうからね。さあ、みんなで二人の婚約を気持ちよく祝福してあげようじゃないか」  思いがけない言葉に、一同唖然となる。 「諸外国において同性同士の結婚が認められている地域はひとつやふたつではない。ジェンダーからの解放という点で、日本はまだまだ遅れていると言っていいでしょう」  教授はこの世代の人にしては進んだ考えの持ち主らしく、ゲイを認める発言をした。 「それに、箏は女性だけの楽器ではないし、男性でも優秀な演奏家はたくさんいる。偏見を持つのはどうかと思いますよ」  そこまで言われたプルプル女は黙りこくってしまった。  先生、その御意見は素晴らしいのですが、何も祝福してくださらなくても…… 「そ、そうだよな。ミサオちゃんが女の子と結婚を前提につき合ったり、タキシードや紋付袴着て、花婿やったりしている姿なんて想像つかないもんな。やっぱり花嫁でしょう」 「ウェディングドレスの方が絶対にしっくりくるよ、それとも白無垢かなぁ。ミサオちゃんの花嫁姿、どっちもキレイだろうな」  赤木と青柳の、笑顔を引きつらせながらのコメントも凍った空気を溶かすことは出来ず、さらなる重みがずっしりと加わる。

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