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最悪ライバル プルプル女 9
「しかも男同士で婚約だなんて悪い冗談、頭がおかしいとしか思えなぁーい」
「てめえ、大概にしろよっ!」
とうとう俺はブチ切れた。自分の意思でも何でもなく周りで勝手に言われているだけなのに、どうしてこいつにこんな言い方されなきゃならないんだ?
今にも殴りかからんとする俺を赤木と青柳が必死になって制止する。
「お、抑えて、ミサオちゃん!」
「相手は女の人だよ、だから……」
「うるせえ! ここまで言われて我慢できるかってーのっ!」
すると、俺と桃園恭子の間に入った聖爾は彼女の前に立ち、やおら俺の肩を力強く抱いた。
「僕のフィアンセを侮辱するような真似は許さないよ」
その言葉に思わずドキリとし、俺は肩に置かれた手を振り払う気にはなれなかった。
「フィア……って、だってこの子、男なんでしょ? なのに、どうして? 親が決めたからなの、そんなの変じゃない」
すがりつくような態度で、憐れみさえ感じさせる声で彼女はそう訊いた。
「美佐緒さんは僕にとって一番大切な人。他に語る必要はないでしょう」
表情を崩すことなく赤面モノの気障っちいセリフをさらりと言ってのける聖爾、その場の空気がピキーンとマイナス五十度ぐらいに凍りついた。寒い。寒過ぎて俺の唇も凍ったのか、何も弁明出来ない。
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