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勃発! 合奏バトル 1

 見合いという奇妙な形で再会し、関わるようになった聖爾は俺を十五年間想い続けていて、俺自身は偶然出会った応援団団長の土方さんに片想いのはずが聖爾の動向も気になる。奇妙な三角関係のせいでこの数日間、心が掻き乱されっぱなしだ。  気もそぞろに講義を受けていると、後ろの席に座った赤木が背中をペンでつついた。 「何ぼんやりしてるんだよ?」 「うるさいな、何でもねえよ」 「昨日あれからどこ行ったの?」 「送ってもらっただけ、どこも行かないって」  この応用化学の講義は必須科目のひとつで、工業化学科のほとんどの人が受講するとあって、大人数が入れる小型のコンサートホールみたいな教室を使う。  教授はマイクやスクリーンを使って授業を進めているけど、後方の席はそれこそ無法地帯で、居眠りにおしゃべり、メールするヤツと様々。高い学費を払っている親が見たら嘆く光景が繰り広げられている。  おしゃべり組のひとりである赤木は「学園祭の話、聞いた?」と話を振ってきた。 「さあ、知らね」 「ミス・キャンパスのイベント内容が大々的に変わるんだってさ」 「あ、そう」  気のない返事を繰り返す俺の態度はいつものことと、赤木は懇切丁寧に説明を続けた。  神理大の学園祭は例年六月初旬に行われていて、男だらけの地味なキャンパスもこの三日間だけは華やかなお祭りムードでグッと盛り上がる。ミス・キャンパスコンテストは三日目、最終日の大イベントとして用意されており、会場は今俺たちがいる、大学で一番広いこの教室を使って大掛かりに行なうらしい。

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