70 / 120

勃発! 合奏バトル 3

 そしてこの話には続きがあった。  参加者の資格の枠を広げても、食堂のオバちゃん全員が参加するとは思えないし、女装してまで、敢えて参加しようと考える男もそう多くはないだろう。  そこで考え出されたのがサークル別対抗にするという案。学生会館にある十五の部室使用権を賭けて、各サークルがこれぞという人物を推薦し、自分たちの代表に挙げてコンテストに送り出す。この方法なら、部室が欲しいサークルの数だけ参加者が集まる寸法だ。  上位十五位以内に入賞すれば部室が与えられるが、十六位以下は権利なし。現在部室を使っているサークルも入賞出来なかったら、権利を剥奪されるのだ。これはかなり厳しいが、空きを待っている多くのサークルの気持ちを汲み、平等に扱うための決定とみた。 「これってさぁ、オレたちにメチャメチャ有利なチャンスじゃん?」 「チャンス、って何の?」 「部室ゲットだよ! 部室があれば毎度楽器を車から運ぶ必要ないし、そこで練習出来るって、白井さんが話してたじゃねえか」 「ま、たしかに……」  赤木はずいっと俺に顔を近づけた。 「三曲同好会の未来を背負うのはミサオちゃんをおいて他にいないぜ、もちろんコンテストに出るだろ? そんでもって部室をゲットしてオレたちは万々歳。めでたし、めでたし」 「なっ、なんで俺が?」  授業中にもかかわらず、大声を出しそうになった俺は慌てて口を押さえた。  ミスコンに出ろ、出るんじゃないかと言われ続けていた俺が本当に出る羽目になるかも、なんて、これぞまさに瓢箪から駒。

ともだちにシェアしよう!