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勃発! 合奏バトル 4

「男もオッケーになったんだから堂々と参加出来るし、箏が弾けるという立派な一芸があるじゃないか。こんな大役、ミサオちゃんを差し置いて、誰がやれるっていうんだよ」 「誰って、あの桃園って女がいるだろ」  赤木の言う通り、コンテストで入賞して部室が貰えれば三曲同好会は活動しやすくなる。しかし、いくら同好会のためとはいえ、二度とやりたくないと思っていた女装をしてコンテストに臨むのは抵抗があるし、その姿を公衆の面前に晒すなんてまっぴらゴメンだ。  それに俺が出るまでもなく、ミスコン三連覇を目指すあの女に任せた方が確実だと思われるのだが、その言葉を聞いた赤木は難しい顔をして首を横に振った。 「去年までとは審査基準が違うし、三連覇が達成出来るとは思えないな。みてくれだけの女に審査員を唸らせる芸当があるわけないし、万が一入賞して部室が貰えたとしても『アタシのお蔭よ』とか何とか言って、恩に着せるに決まってるぜ。あいつに気兼ねしながら部室を使うのなんてイヤじゃねえか」  傍若無人な桃園恭子をみんな快くは思っていない。彼女は自分が好意を寄せる聖爾に接近するだけの目的で同好会に入り、そこにいた俺を邪魔者だと思っていることは全員が承知していたし、それに対して俺を聖爾の婚約者として支持、応援してくれるというのは有難いのか迷惑なのか、何だかわからない。 「どっちにしろ彼女の時代は終わったんだ、次の優勝者はミサオちゃんだって」 「マイッたな……」

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