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誠さんと二人きりで……? 3
思いもよらない申し出に、俺は何と答えていいのか戸惑ってしまった。俺たちはコンテストにおいてライバル同士じゃないのか。応援団チームに手を貸して、文句が出るのではと思っていたら案の定、プルプル女がこちらにやってきて「内緒話なんかして、カンジ悪ぅ~い」と言いやがった。
「もう、図々しいんだから。アタシのパートナーにちょっかい出さないでよね」
「別にちょっかいなんか出してねえよ」
聖爾の方から話しかけてきたのだ。俺が唇を尖らせると、それまで黙って尺八を磨いていた誠さんが「口を慎んだらどうだ」と同い年の女子学生をたしなめた。
「美佐緒さんは豊城先輩の婚約者だ。話をして何が悪い」
「フン、何よ。アタシは認めていないから」
何かと忙しい緑川教授は最近、練習に参加しておらず、お目付け役がいないのをいいことに、彼女は好き勝手に振舞っていたのだ。
「そう言う土方くんこそ、ホントはそこのオトコオンナに興味があるんじゃないの?」
オトコオンナって……俺しかいないか……
えっ? ええーっ! それって初耳、俺はつい、誠さんの顔を凝視してしまった。
彼は鋭い目つきで相手を睨むと「ふざけたことをぬかすな」と言ったが、その姿は迫力満点。今が江戸時代だったら、プルプル女は間違いなく切り捨て御免になっていただろう。
「おー、こわっ」
大袈裟に肩をすくめてから、彼女は話題を変えた。
「で、演奏曲は六段にしたんですって? そのぐらいがあなたたちにはちょうどいいわよ。アタシは春の海に挑戦するけどね」
「本当にそうするの? 時間もないし、もっと簡単な曲がいいんじゃないかな」
聖爾は困惑した様子で訊いたが、
「あら、どうせならチャレンジしなきゃ」
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