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真のバンカラ 2

 俺は男らしさというものを履き違えていた。それは姿形や、ましてや服装ではない。いかにも男っぽい態度や言動でもない。  本当の男らしさとは相手の立場になって、優しさをもって誠心誠意を尽くすこと。人を陥れるような、卑怯な真似をせず、悪に対してはきっちりと立ち向かう勇気を持つこと。信念を持って正々堂々、胸を張って生きることだ。それが本物のバンカラだ。  いや、男らしさなどという、ケチなものをどうこう論ずるのではなく、男女を問わず、人としていかに真摯に生きるか、ということが大切なんだ。  俺が誠さんを好きだと知っても、聖爾は姑息な妨害など行わず、俺たちのためにコンテストの場面で手を尽くしてくれた。彼の手助けがなかったら、応援団チームの入賞は有り得なかったと断言出来る。  聖爾の優しさに、俺への想いに応えたい。そして、ずっと一緒にいたい……  山下公園近くの大通りに面したベイサイドホテルまで辿り着くと、フロントに向かった聖爾はキーを片手に戻ってきた。 「函館もいいけど、ここから見る横浜の夜景もキレイだよ。そういうの好きでしょ?」  どうしてそれを知っているんだ? 「七○六号室だって、エレベーターで行こう」  二人きりの個室に乗ると、聖爾は俺の肩を抱いてきた。その胸の辺りに耳が触れ、彼の、そして俺自身の心臓の高鳴りが聞こえて、嬉しさと恥ずかしい気持ちが入り交じり、ひたすら床を見つめる。  部屋の扉の向こう側、横浜港を見下ろす窓一面に港の夜景が広がって、その美しさに俺は溜め息を漏らした。 「ほんと、キレイだな……」  肩を抱く手に力を込めて「君の瞳はもっとキレイだよ」と囁く聖爾、やっぱり気障で軟派なヤツだけど、これが俺の最愛の人なんだ。

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