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真のバンカラ 9

「なっ、何でいきなりそういう展開になるんだよっ!」 「晴れて僕たちは結ばれた、結婚するしかないでしょう」 「だって俺、まだ大学一年……」 「いいじゃない、学生結婚だって。ちなみに僕も学生だよ」  俺の頭の中を結婚の二文字がぐるぐる回る。どうしていつもこう極端なんだっ! 「近いうちに両親と一緒にお伺いするから、御家族に話しておいてね」  結納だよ、と聖爾は嬉しげに言った。 「関東では白木台に長熨斗・目録・金包・勝男節・寿留女・子生婦・友白髪・末広・家内喜多留の九品を乗せるのが正式なんだ。ちゃんと用意したからね」  一つめの長熨斗は、二つめは、と指を折りながら結納の品々についてそれぞれのうんちくを得意気に述べる彼と、それを見守るばかりの俺、反論する気力はとっくに失せた。 「結納、それから結婚式でしょ。君なら白無垢を選ぶのかな、でもまあ、ウェディングドレスはお色直しで着ればいいよね。ピンクのカクテルドレスもいいな、よく似合うと思うよ。僕の方は君に合わせるから」  やっぱり女装しなくちゃいけませんか? もう慣れっこだし、今さらイヤだとは言わないけどさ。 「披露宴では約束どおり、末の契りを合奏してもらうからね。楽器の持込みが出来る場所じゃないと困るな、確認が必要だな」  あのー、披露宴で合奏するなんて、一言も言ってないんですけど。

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