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真のバンカラ 8

 キュートでセクシーだからとそそのかされて、青柳のツテでわざわざ服を借り、あの格好をして有頂天になっていたホイル焼き女にはやっぱり同情するよ。 「ねえ、月からの使者のセリフ、おぼえているかい?」 「えっ、何だっけ」 「なんだ、おぼえてないの。冷たいなあ」  そこで聖爾はあの時のセリフを再び口にしたあと、「君と土方くんは結ばれない、君を連れて行くことが出来るのは僕だけなんだよ」と言ってのけた。セリフにはそういう意味合いがあったと教えたかったらしい。  誠さんの正体を見抜き、舞台の上で既に勝利宣言していた、彼の大胆不敵かつ自信満々な態度に底知れぬものを感じていくらかビビッた俺、これって、見合いの日と同じ状況じゃねえか。  本当の男らしさは云々、なんて、こいつのことをちょっと買い被っていたかも。不安が次第に増幅してきた。 「……やっぱりつき合うの、やめようかな」  それに、毎晩エンドレスエッチじゃ、こちらの身がもたないし。  俺のつぶやきが聞こえたのか、それともわからなかったのか、いや、まったく取り合うつもりはないのだろう。「あ、そうだ」と言って身体を起こした聖爾は自分の荷物の中からパンフレットを幾つか取り出してみせた。 「結婚式場はどこにする? これ、式場案内所で貰ってきたんだ。本来なら思い出の玉華殿を選ぶのが筋だけど、君の希望を聞いておこうと思って。いっそ海外挙式にしようか」 「け、結婚式?」 「だから僕たちの、だよ」  ベッドから転がり落ちそうになった俺はそれでも何とか這い上がると、目を三角にしてヤツに向かって吠えた。

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