166 / 665

狼の枷 24

「うん  ぉ、がみさん、  いーにおい……」  すんすん と子犬のように大神の肌をなぞりながら、あかは辿り着いた先に満足そうに笑った。 「コレ、あっつぃの  」  どこで覚えたのか……  普段のあかからは想像できない程卑猥な動きで、あかは大神のモノを口だけで取り出した。  ぶるんと質量を感じさせる揺れを見て、はっとする程嬉しそうに笑顔を見せた。 「お がみ さ、んの 」  下から掬い上げるように尖らせた舌がソレの裏筋をチロチロと舐め上げる。  先端の膨らんだ部分をワザと固くした舌先でくにくにと弄って、そして割れ目を含む先端に覆いかぶさるようにしてキスをした。  ちゅ ちゅ  ちゅる  と、唾液を絡めてソコに丹念に舌を這わせる水音が耳を打つ。 「腕を、 」 「うん ?」  口の周りを涎で汚したあかが不思議そうに首を傾げる。  もうその頭の中には腕を繋がれている事や、逃げようと必死だった記憶も霧散しているようだった。 「外さないと邪魔だろう」 「じゃま  」  ぽやん と返される言葉は、よく理解できていないのがはっきりと読み取れる声音だ。  大神は話しかけるのを諦めて、ベッドにあかを繋げてあった手枷の鍵を外した。  ほんの少しの間しか拘束していないと言うのに、抜けようと必死に足搔いたせいか手首の部分は赤く擦り切れたようになっている。 「痛々しいな」 「 ちゅ、してくれたら、治る」  直江がこれを見ていたら笑い出すかもしれないと、冷静に考えながら大神は頭を垂れてあかの手首に口づけた。  飛び上がりそうな程熱い唇が押し当てられて、硬そうだったのに思いの外柔らかなそれが、ちゅ ちゅ と赤い皮膚に口づけられていく。  それが何とも官能的で……  あかは見惚れるまま、近くにある大神の唇に伸び上がってキスをした。 「お がみさん、好き」  口付けの合間の呼吸に紛れて囁かれた言葉に、大神ははっと目を瞠る。 「  コレ、お がみさんの、コレ、大好きぃ 」  頼りない太さの指が竿に絡み、筋の一本一本、そして人工的に作られた瘤をなぞり上げていく。 「ココ で、ぐりぐり、 され  たら、きも  ち   ぃ 」 「気に召したのはそっちか」  手の中で育っていくソレを嬉しそうに眺め、あかは跨ろうと身を乗り出した。 「待て、準備も何も  」 「ぃ い  」  手で支える必要もない程にそそり勃ったモノに、腹の奥が鈍く攣る。  つぅ とあかの秘部から滴る粘液が、銀の糸を引きながらソレに垂れた。 「 っ   我慢できないのか?」 「   れきない」  ふぅ ふぅ と荒い息の合間から応えるあかを、大神は軽く持ち上げてベッドの中央へと放り出した。  あかが小さく呻いている間に手早くコンドームを開けていると、恨みがましそうな目が大神の指先のコンドームを追いかけきた。 「それ  やぁ  」 「嫌だじゃない。必要なことだろう」  折れそうな程に薄い腹を見て大神が溜息を吐いた。 「 あ、かちゃんの、種……注いでくれなくちゃ やだぁ」  啜り泣きのようにか細く呟き、ベッドの上を這い寄って大神のスーツの裾に縋りつく。 「これ以上の薬は止められただろう?」 「や  ナカにくれなきゃ、やぁ 」 「馬鹿言うな、孕むぞ」  しっかりつかんだまま放さないスーツから腕を抜き、ぐずぐずと首を振るあかの上に放り出す。一瞬きょとんとしたあかだったが、頭の上に被されたそれを握り締めて蕩けそうな顔をして身をくねらせた。 「お がみさんの、ニオイ  いっぱい 。おれ このニオイの子供 孕む、いっぱい」  スーツに顔を埋めてうっとりとしながら、もどかし気に足に絡まったパンツを放り出す。 「ココ に、いっぱい、 い、ぱい   」  細い指先が尻たぶを押し広げてその奥を這い、ぬるりとした粘液がこぷりと溢れる度に、濃密なΩの匂いが辺りに漂う。  嗅覚よりも直接的に脳を揺さぶるようなその匂いに、ぎゅっと大神の眉間に皺が寄った。  食欲 に、近い感覚だった。  飢えて飢えて仕方がない、食べなくては死んでしまう。  そんな本能を抉るような揺さぶりに、大神は小さく呻いた。 「こんなの いらない   」  匂いに抗おうとした一瞬の隙に、あかの手がするりとソレを包み込んで覆い被さっているコンドームを引き抜いた。 「おい」 「ココ、そんなの  つけるなら入れさせてあげない 」  ベッド下に投げ落とし、あかは正気ならば絶対にしないような、股を大きく広げて見せる。

ともだちにシェアしよう!