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ひざまずかせてキス 3

「  ぇ 」  腹の中に広がる他人の熱。  白濁の、粘り気のあるソレ。 「や   」 「ちょっ  出てるんだから動くなって!」 「いやだ!」  射精の快感で緩んだのか、がっしりと腰を掴んでいた手の力が緩んだ。お陰で男の下からは脱げ出せたけれど、抜けたソレは中途半端に白い液を撒き散らして…… 「お。スッゲー出た!」  無邪気な子供のような感想と、頬に跳んだ精液の生温かさに、 「ぅ   っ」  ぐっと胃が迫り上がった。  内臓が、  股が、  尻が、  胸が、  顔が、  全身が、ぬるつく。  気持ちの悪い潤滑油と男達の出した精液と…… 「  ────ひっ」  跳ね起きて足の動きの違和感に気が付いた。 「あ、起きた」  と、同時にピッと顔に滴が跳んだ。 「わり、また顔に跳んだわ」  人の足を抱えて素股を堪能していた男は、そう言って悪びれる風でもなくへらへらと笑った。  頬を流れ落ちていく粘液への嫌悪感で再び胃が縮んで、反射的に腹筋に力が入る。 「 っ  ぐ、」 「あーまた吐くの?なんなのあんた」  仰向けになっていた体を横向に促して、男が緩く背を摩る。 「え?具合悪いの?  な、ワケないっか」  口の中が酸い。  喉が何度も何度も鳴るのにこれ以上出るものがないのか、好ましくない酸っぱい味が口に溢れるだけだった。 「なん  な   っ」  内臓が大きく動いて攣る感覚に、反射的に涙が溢れて鼻がぐずぐずと鳴る。 「あ、それイイな」  ────ピロン 「  は?」  男の手に持たれた携帯電話は確かにシャッター音を響かせた。 「なん  なに   」 「グズグズの泣き顔イイ!」  そう言って男はまたへらへらとした笑いを浮かべた。 「だーから、なんで俺が蹴られないといけないワケ?」  蹴り付けた為に腫れ上がった頬を押さえながら、相良大我と名乗った男は心底分からないと言った風に不貞腐れた。 「あんたが吐いたのも全部片付けたのにさぁ。あ、その後またムラっとして汚したのは悪かったけど、蹴るほどじゃないだろ?な?」  同意を求めてグイッと突き出された軽薄そうな顔を押し戻し、その眼前に手を突き出す。 「あ?え?何?金?ない!」 「携帯、寄越せ」 「え?なんで?」 「なんで?からかってるのか!」  胸倉を掴んでぐっと引き寄せたが、意外な程筋肉があるのか相良はふらつかなかった。

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