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ひざまずかせてキス 4
無精髭の生えた締まりのない顔で、へらへらと笑って手を振り払ってくる。
「なんであんなっ あ、あんなっ!!って、どうやって入ったんだ!」
「勝手に入ったのは悪かったけどさぁ。ここ、何かなーってずっと思ってたんだよね。したらさぁ、ドア開いてるし喘ぎ声聞こえるし、覗くしかないでしょ?」
ギリギリと手に力を込めるも、服が伸びるばかりで相良はどこ吹く風だ。
「あとは穴がスエゼンであったら、とりあえず入れとくでしょ?」
ぴっと指差され、その穴は自分だと言われて顔が熱くなった。
「俺悪くないだろ?挿れてクダサイ的に穴拡げてたのあんただし」
「なん っ何を言って っ」
ぐっと言葉に詰まって、羞恥から顔が火照るが、とりあえず撮られた写真をどうにかしようと、相良の尻ポケットに手を伸ばしたが、すぃ と逃げられて掠ることすらなかった。
「男のシリ触るの趣味なの?あ!あんたのシリ、マジサイコー!女のより締まるのな?名器?な、名器なの?」
「うるっさい!さっさと携帯を寄越せ!」
自分より上背のある人間を睨み上げるのは久しぶりだった。
「何?もっかいハメ撮り撮っとく?」
「 も かい ?」
相良の言葉が分からず、呆然と繰り返すオレに知らしめるように、携帯電話の画面を見せてくる。
『 あっ ァ』
ぐぷ と粘液が擦れて立てる音が響く。
背後から突かれて声を上げて善がるソレは……
「なっ 」
「最初から見る?自分でしてるとこからバッチリ撮れ 」
反射的に足が動いた。
携帯電話を持つ腕を目掛けて振り上げた爪先がそれを蹴り飛ばした感触がして、相良の驚いた顔が目に入る。視線で追う先に、携帯電話があるのが見て取れた。
ガツッ と、思っていたよりも派手な音を立てて壁にぶつかり、カラカラと床の上で軽い音を響かせる。
「ああーっ‼︎何するんだよ!」
床に転がる携帯電話を相良より先に取り上げ、スーツの中へと仕舞い込んだ。ぎゃあぎゃあと騒ぐ相良の襟首を掴み、もう一度引っ張るがやはりびくともしない。
「この事は忘れて二度とオレの前に現れるな。それで勘弁してやる」
低い声で凄んで見せるのに、へらりとした顔は変わらない。
「えぇ?俺ヘタだったー?」
ぎち ぎち とシャツの糸が切れて音がする。
「今、ここで、処分してやろうか」
「えー?俺やられんの?まぁやりゃいいけどさぁ」
長い指が俺の腰をつぅ となぞる。
「天国行きたいな」
「あんたのナカで」の言葉は蹴り飛ばした為に消えかけだった。
コレが、相良大我 との出会いの顛末だ。
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