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教えて!先生っ 20

 つぅ とグラスをヒタの方へと押しやり、一本目のボトルにぶら下がってるタグを手に取る。 「ヒタさん、オレのボトルは適当にみんなで飲んで」  腹に子がいるかもしれない って言う可能性があるなら、飲むべきじゃない。 「……まぁ、少しずついただくわ」 「うん、そうして」 「ちょっと冷静になる為にも、ゆっくり休んで考えを整理したら?」  ね?と念を押すように言われ、それもそうかと頷いて立ち上がった。  このことでちゃんと睡眠はとれていなかったし、何かしらずっと考え事をしていたのは事実だ。ヒタに注意されるほどに疲れているのが外に出ているのかもしれない。  今まで一人気楽に生きてきてこれだから、ちょっと煮詰まっていたのは確かだ。 「じゃあ  うん、ちょっと帰って休むよ」  ヒタの顔がどこかほっとしたように見えて、見送ってくれる姿に手を振って店を出た。  ────とりあえず、オレがこれからしなくちゃならない事は、双子の両親に挨拶?その前に教頭か校長に相談?いや、学年主任に先に話を?その前に警察?医者?  ……あれ?  休むって言ったのに全然休めないじゃないか。 「休みたいけど考える事が多すぎて……ちょっとどうしたらいいんだ?」  まずメモに書き出してみる?  それから一つずつ解決していけば、多少回り道になってもすべて円満解決す ──── 「「せんせーおかえりー」」  我が家のリビングからひょこひょこっと顔を覗かせた双子に、「なんでいるんだ⁉」と聞く前に思い出した。  合鍵回収し忘れてたぁ…… 「せんせーん家ちょっと狭いね」 「三人で住むならもうちょっと広い方がイイね」 「寝室は一つでもいいけど」 「部屋は欲しいよね」 「何を勝手言っているんだ‼」  ローテーブルの上に散らかった賃貸情報の載ったチラシをゴミ箱に突っ込み、きょとんとしている二人に玄関を指さした。 「門限があるだろう!帰りなさい!」  教師の威厳を少しでも見せようと厳し目の声で言ったけれど…… 「うち門限ないし」 「行先を言っておけば自由だし」 「いき 行先ってっ  」 「「ちゃんとせんせーんちに行くって言ってきたよ」」  それ、ご家族にバレる奴ーっ!  アウトーっ! 「あ……ああ……」  がっくり膝をついて、もう観念するしかないのかなぁと呻くと、双子が寄ってきてオレの顔を覗き込んだ。 「大丈夫?」 「熱ある?」  心配そうにこちらを覗き込んでくる二人には、事の重大さが分かっているのかどうなのか……

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