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落ち穂拾い的な 双子と双子と双子
「俺の学年は双子多いね、六華と銀花だろ?あいつらもそうだろ?」
「仁と義だろ?」
うん?
「あの二人は年子だから双子じゃないな」
「えっ そうなんだー」
「双子仲間だと思ってたよー」
ごろごろとラグに転がる二人にお茶を出し、それでも学年に二組の双子がいると言うのは多い方なんじゃないかと記憶を探る。
一年には一組いたが、三年生には一組もいない筈。
「双子って少ないのな」
「なんでみんな双子じゃないのか不思議だよな」
んん?
「双子の方が珍しいだろ?」
「だってさー俺たちも双子だろ?」
「お兄ちゃんも双子だろ?」
「弟も双子だろ?」
「お父さんも双子だし」
「叔母さんも双子だよな」
「せんせーはどうして双子じゃないの?」
待て待て待て。
「兄と弟はいるって聞いてたけど……双子⁉」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「兄の孔明と雀都、弟の杜と宇」
「「だから俺たち八人家族!」」
ホントに待って!
え?これって常識なの⁉
「「だーかーらー多分、俺たちの子も双子!」」
いい笑顔してくれてるけどさぁ……産むのオレなんだよ?
二人はニコニコとオレの腹を撫でて、「早く欲しいねー」とか言ってくれちゃったりするけどさ。プレッシャーはんぱねぇ!
ペタンコのお腹を眺めて、こんな所に人が二人も入れるわけがない!と思い至って一人頷く。
きっとそう!だって一人でもドキドキするのに、二人とかどうなっちゃうんだよ!ぐらいの想像の世界だ。……だけど、だけどなんだけど、以前に見た夢の中の、草原を駆けていく二人の少女のイメージが頭の中から離れない。
良く似合うお揃いの黄色のワンピースと麦わら帽子と、朗らかな笑い声と……
腹に置かれた二人の手にそっと触れて、あの時振り返った二人の少女の顔立ちを思い出して笑いと共に肩から力が抜けた。
もう、いいや!なるようにしかならない!
END.
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