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Dog eat Dog 31
あと少しで届くバッグに手を伸ばそうとしたのに、ずるりと体がずれて……
「ぁ゛ や、」
腰を引っ張る力が強すぎて、カーペットに爪を立てても意味がなかった。必死に体を前に進めようとするのに、大沢の手がべったりと貼り付いてそれを許さず、耳元で「鍵 鍵 」と息に紛れるように呟く声に身が震えた。
大沢の様子を窺ってみると、「鍵」と呟くことに集中することで辛うじて暴走を抑えているようにも見える。
「 じゃ うで の、 」
オレ自身、薬の影響で体中がもうガタガタで、一度出して多少は楽になったが身を捩る度に尻の奥がぬるついて、ぐいぐいと迫ってくる大沢のフェロモンの匂いに頭がぼんやりしていた。
でも両手が自由になれば、大沢を押し退けてバッグを掴むこともできるんじゃないかと言う考えは辛うじて保っていて……
「腕 うん、うで うで 」
うで と呟いているのに大沢の手は首を掴み、わざわざ嵌めたネックガードの錠部分をガチガチと鳴らしている。
「腕、だって ば 」
熱い体がぴったりと重なって、ゆるゆると腰を擦り付けてくる。
先程体のナカに収まっていた熱が尻の肉をやわやわと揉んで、誘うように体温がこちらに移って息がどんどん跳ね上がって行く。
「腕、腕」と呻きながら錠をがちゃがちゃと弄っている大沢に手首の手錠を突き付けたのと、ずるりと首元からネックガードがずり落ちたのが同時だった。信じられない気分でカーペットの上に落ちたネックガードに視線を落とすと、首筋に荒い吐息が触れて……
食われるんだって、わかった。
シーツに散らばる赤い血は、女なら破瓜なんだろうけど男の場合は何て言うんだろう?
ましてや処女膜じゃなくて首の傷なんだから……
「ん゛ぁ ああっ 」
腕を放り出してぐったりとシーツに沈み込んでいる体ががくがくと揺れて、視界の中の赤いシミもそれにつれてぶれる。チャリチャリとなる鎖の音も遠くに聞こえるようで、現実感の無さはやっぱりこれが夢だったのかもしれないと思わせた。
「 ひ、 ん゛く 。は……ぁ はぁ んっ」
「……ふ みさ きもち 、きもちぃ 、俺の 」
「も ぉ、っ でにゃ 出な、い 死ぬ、死んじゃう……も、 だって 」
衰えない勢いで腰を突き上げられると臍の下がひくりと波打って、その度に大沢はうっとりとした表情で抱えたままのオレの足に頬を摺り寄せ、幸せそうだ。
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