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Dog eat Dog 42
ホテルでオレの発情に引きずられてラットを起こしたせいで、オレに対して興奮しやすくなっているんだろう。
「 かわいそうに」
「 な なにが⁉」
「お前が。オレの憂さ晴らしに巻き込まれて、ケツ掘られてヒートのせいでラットになって……」
噛んで……と続けようとしたけれど、これはΩ側が不利になることはあっても、αが不利になることではないから と、口を噤んだ。
「かわいそうじゃないよ!俺、大沢演じてた時にドクドクって心臓が鳴って、この人だってわかったんだよ!所長の合流まで時間稼がないとダメだったのもあるけど!あの日のデートは少しでも長く一緒にいたかったし!あの店も俺が連れて行きたかったとこなんだ!」
息継ぎもなしに一気にそう言うと、時宝も少し落ち着いてきたのか何も言わなくても深く深呼吸をしていた。
「中田の時、あんなカッコしてたのは、いつかさんの雰囲気に合わせたからだよ!だけど二回目のまどかさんは全然違ってたから……すげぇ残念で…… 」
「残念 なんて 」
「借りたあのスーツならさ、ちょっとはまどかさんの隣にいても釣り合って見えるんじゃないのかなぁって」
中田の、絵に描いたような上級αの姿が、オレと釣り合うようには思えない。胡乱な表情で睨んでやると、時宝はちょっと顔を赤くして視線を逸らした。
もじもじと恥ずかしがるような行動も、αの時宝がすれば様になる……と思うのは、さすがにひねくれ過ぎか?
「まどかさん、カッコ可愛いから」
「そんっ そんなお世辞言ったって!うちには泊めないからな!」
カッコ可愛い?
なんだそれ。
馬鹿にしてるのかなー……とか思うのに、オレに向けての言葉で体の中がさわさわと風にかき乱されたように、落ち着かなくなった。
「 と、泊めなくていいから、俺の言葉信じてくれる?」
「──?」
「可愛いって」
さわさわと胸の内を撫でる言葉の心地よさに、頬が赤くなるのを感じる、オレが赤らんでも不細工なだけだろうに、それを見詰める時宝は酷く幸せそうで……
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