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かげらの子 27

 朝の穏やかな光に満ちていた視界が急に真っ暗になって、ぱぁん と言う甲高く鋭い皮膚を打擲する音に、小さな子供のように身を竦めて息を止める。そろそろと目を開く事もできたろうに、それすら怖くて膝を抱えてむっとするような草の臭いに縋るように意識を向けた。  けれど視界が暗闇に落ちれば、必然として他の感覚が鋭敏になり……ぱしんぱしん と先程よりも小さく小刻みな肌のぶつかる音と、嘔吐く乱雑な音がすぐ傍で聞こえるかのように迫ってくる。 「  ……ぃ  」  歯が、がちん と鳴って嫌な汗が体中を伝う感触に、捨喜太郎は堪らず悲鳴を上げそうになった。 「 おら、 しっかり飲んめぇっ」  寸での所で声を堪え、そろりと瞼を持ち上げると目尻から情けなさに流した涙が頬に沿って流れ落ちる。 「おめがはこれが餌なんやろ?溢さんとな」 「  んっ  ぅ」  視界の真ん中に、後ろを犯されながら男の欲望を咥えさせられて、顔を苦し気に歪める宇賀の姿があった。  男の怒張したまらを小さな口で受け止めて、その表情はどうしようもない苦しさで歪み、堪え切れない吐き気に喉が鳴る音が響く。容赦のない動きで男が腰を振った後、一際大きく宇賀の喉へと腰を突き出して果てたようだ。捨喜太郎に向けた背中が縮んでぶるりと震えて止まり、両の尻たぶにぎゅっと力が入るのが見える。 「なん 早いやない?」 「んなこったねぇ、お前の勃ちが悪ぃんだぁ?」  先に果てたからか、照れ隠しのように笑い交じりに言うと、男は下しにくそうに喉を動かす宇賀の髪を掴んでは自身の逸物を押し付けた。 「おら、掃除せんと」 「  っ、ぅ」  嚥下しきれなかった精液が喉に絡んだのか、宇賀は小さく咳き込むも何も言葉を返さず、大人しく唇を開いて吐き出して満足そうに項垂れている男の鈴口を吸い上げようとする、けれど後ろの男に乱暴に揺すられるせいかうまく行かないようで、男に怒鳴られてはひくりと怯えて肩を揺らす。  やがて後ろの男が自分勝手な律動を止めて宇賀の中に精液を吐き出した後、その背中に覆い被さるように腰を曲げた。  捨喜太郎の箇所からはそれが何を意味するのか分からず、事が終わったのかと息を詰めるしかない。 「 っ、あー……出したかよ?」 「あぁ、すこんとして、また寝ちまいそうだ」  ひひ と厭らしく笑い合った男の片方が、着物を直す最中にぶるりと体を震わせる。

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