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お可愛いΩ お可哀想なα 2
「りっかぁ!おかえり!あのね、アルファは小文字なのに、オメガはなんで大文字かって話してて」
案の定、仲良し三人組は今日も学校が終わったらここでグダグダしてたようだ。
「猫みたいで間抜けだからじゃないか。と」
「にゃーん て」
「にゃーん」
「にゃーん」
「にゃーん」
真剣な顔で高校生が何してんだか……
「 猫ってより、キンタマっぽいけど」
そう返してやると、三人ははっとなって今度は「キンタマ」「キンタマ」「キンタマ」と呟き始めた。
「すごいね!キンタマだ!」
「うん 」
キラッキラの顔面から出て欲しくない言葉だ。
おバカ三人、黙ってればただただイケメン三人組なのに、喋らせるととっても残念。でもこれが日常で、突然仲のいい友達が学校に来なくなってしまった自分としては、見てて和むのも確か。
「仁と義は今日も泊まるの?」
「泊まる」
「泊まるー」
ふぅん、と返して三人がけのソファーにむぎゅむぎゅになって座ってる三人を振り返る。
左から仁 、おじさん似の粗い感じのする硬派なイケメン、真ん中に銀花 、うちの両親からいいとこ取りした色素の薄い、シャープな顔立ちのイケメン、最後に義 、こちらも両親のいいとこ取りしたんだろうなって感じの、柔和な雰囲気を纏うイケメン。
αらしいキラッキラなオーラダダ漏れの三人組だった。
「オレはこれから病院行ってくるから、お腹空いてたら先に冷蔵庫の中の物を食べちゃって」
そう三人に言い聞かせているとまるで母親の気分になってくるから、花の男子高校生なのになんだか枯れてるのかもしれない。
「ご飯は炊ける よね?」
オレの家は父子家庭で、おかずはお父さんが仕事で忙しい合間に帰ってきては作り置きしてくれているからそれを食べるだけなんだけど、さすがにご飯は毎回炊いている。いつもはオレがするんだけど、今日はどうしても外せない病院の日だ。
さすがにそれくらいは出来たよな?って思っていたら、三人はキョトンとした顔をして示し合わせたかのように同時に首を振り始める。
「ん゛ ん゛ん゛ーっ」
文句の一つでも言ってやりたかったけど、薫の家を回っていたから予約の時間まで厳しい事になっていて……
でも、やっとかないと だよね?
急いでお米を研いでタイマーを掛けて、それから着替えて……ってしてる横で、三人は今度は米はどう研ぐのかの話に花を咲かせている。
「洗剤は使わないよっ!」
そう言って割入ってから、もう一度先にご飯を食べておくようにと念押しする。
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