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お可愛いΩ お可哀想なα 8

 オレがαなせいか、どうしても気になる子達はΩで……薫もΩ寄りのベータだったし、そう言う子達にとって恋愛対象に自然とαを選びやすいらしい。でも、αとしてαのフェロモンが出せるかって言ったらNo!外見だけでもαらしいかって言われたらNo!な、出来損ないのオレは意識下でその範疇から外れちゃうらしくて……  良くて友達、下手したら恋のライバル認定されてしまう。 「せっかくアルファに産まれたのにぃ 」  思わず涙声になると、若先生がぽんぽんと頭を撫でてくれた。 「アルファに産まれたからすべてが順調で思いの通りになるってわけじゃないよ?むしろフェロモンに左右されない君はどんなことでも選べるし、どんな相手でも選べるってことなんだから」 「でも   」  言葉を選ぶオレに、若先生は辛抱強く待ってくれている。 「   どこかにいる、運命の番に気付けないかも」  最悪、自分は出会えなくてもいい。  出来損ないに産まれてしまったのはオレなんだから。  でも、この世界のどこかにいるかもしれない運命の番が独り寂しかったら、やだなって。 「独りぼっちにさせちゃうのが、一番いや」  オレがフェロモンを感じないせいで、その子に悲しい思いをさせたくないし、笑わせてあげたいし、守ってあげたい。  全然αっぽくないこんなオレだけど、そんな気持ちぐらいはあるんだ。 「そんな可哀想なこと、したくない  」  思わずぽろりと落ちかけた涙を拭おうとしたけれど、間に合わなくて膝の上にぽとんと落ちる。 「  ──── 運命に、会いたいよ」  人前で泣いてしまったことと、なんだかロマンチストみたいなことを言ってしまったのが恥ずかしくて俯いたままだったけど、そんなオレをからかうわけでもなく先生達は落ち着くまでじっと見守ってくれていた。  病院からの帰り道には薫達ともよく通った大きな公園の傍を通る。薫とお喋りしながら歩いた思い出に、ちょっとその中を通ってみたくなったけれど、辺りを見渡して諦めた。  海風から街を守る為に作られている鬱蒼とした木々のグリーンベルト公園は、中に入ってしまうと夜は特に見え辛くなってしまうから立ち入るなってきつく言われている。 「ここは、オレと薫と喜蝶の出会ったとこなんだよね」  ぽつんと呟いて自分の腕に視線を遣ると、どこをどう見ても細い腕しか見つからない。  オレはそうは思わないんだけど、オレの見た目って言うのは所謂不審者に好まれるものらしくって、昔からちょくちょく連れ去られそうになることがあったりした。  体格も小柄だし、いかにも力なんてありませんって感じの外見だから、余計にそう言う変質者のターゲットになりやすいのかもしれない。

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