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お可愛いΩ お可哀想なα 11

 海の学校って言う行事があるわけなんだけども。  まぁ、臨海学校とか海浜学校とかも言うんだけど、要は海の傍の施設で皆でお泊りしよう!って言う学校行事が毎年あるわけだ。  クラスは混ざってもいいので三人で班を組んで課題や遊びを満喫して青春しよう!って主旨なわけでー……  まぁ、オレの組んでた相手は薫と喜蝶なんだけどね、 「………………ぼ ぼっちじゃ ないです   」  そう精一杯の虚勢を張って虎徹先生に報告するも、ほっぺを突かれてぷしゅっと空気の抜けた頬と同じように気持ちもしぼんでしまった。 「…………班を組んでくれる人が いませぇん 」  もっと前からならいざ知らず、直前で三人組の内二人抜けたらもうどこにも入り様がない。  それでなくても、Ωの子達からはライバル視だし、αの子達からはΩっぽいのにΩの匂いのしない変な奴って認定されてて、ちょっと遠巻きにされがちなのに…… 「でもっ友達がいないわけじゃ ないですぅ  」  泣きが入るけれど、これだけははっきり言っておかないと、どんどん虎徹先生の眼差しが慈愛に満ちた生暖かい物になって行くから、何とかしないと海の学校の間中、先生達と行動することになっちゃうよ!  別に!本当に!友達がいないわけじゃなくて、もう三人で班を組んでいる子達はやっぱり特別に仲のいいグループで固まっているから、そこに入り込むのはちょっと気が引けてしまう。 「じゃあもう銀花くんたちと組んだらどうかな?あの三人なら、君も気を使わなくていいだろうし」  と、言ってはくれるけれどー……気まずくなって、「もう少し探してみます」って返した。  普通なら、双子の弟と赤ん坊の頃からの幼馴染なんだし、気も使わなくていいしで飛び込ませて貰うんだけど、今はちょっと……気まずいんだよね。  お弁当を食べるのも薫と一緒だったせいかなんとなく一人では教室で食べにくくて、ちょっと涼しいかなって思うけど中庭に出てそこのベンチでお弁当を広げた。  中身は、ヒジキとか肉巻きとかそう言った変哲もない物だけれど、一つ一つお父さんが作り置きしてくれていた物で、冷めてても美味しいし何度食べても美味しい。  でも、自分で作った卵焼きは…… 「今日の卵焼きは……ちょっとくずれちゃったな……」  昨夜の出来事が尾を引いて、まだまだ平静でいられなかったせいだと思う。  だって!  二段ベットの下で!  なんで もう……! 「あいつらイチャイチャするんだようぅぅ……」  やっちゃいけないと小さい頃に何度も注意された握り箸でグサッと勢いよく卵焼きを突き刺すと、それでなくとも形の崩れていた卵焼きが更に形を崩して無残なことになった。

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