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お可愛いΩ お可哀想なα 31
それで、ちょっと図書館とか買い物とか寄って……
「帰りたくないなぁ」
お父さんは明日までいるだろうし、銀花の機嫌も直ってないだろうし。
機嫌……って言ったら、そう言えば銀花や仁達になんでオレがつんけんされなきゃいけないのか、その理由もわかってなかったんだった。
推測は出来るけど、それが正しいのかはオレが判断することじゃないから、ちゃんと三人の口からどうしてオレに対して怒っているのかを聞きたい。それで、オレが駄目なことしちゃってるなら謝って直さなきゃだし、勘違いなら勘違いだよって言って、
それから、
仲直り、したいかな。
今朝の銀花の言葉は、頑張ってくれてるお父さんには絶対に言っちゃいけないことだと思うし、運命の相手のことを持ち出されて腹は立ってるけど……
もういい!
の一言で済ませることができないんだもん、しょうがない。
家族だからかな?
兄弟だからかな?
それとも、一つの細胞を分け合って産まれて来たからかな?
もやもやっとした寂しいってこの感情を感じているのがオレだけじゃないといいなって、思うよ。
やっとお昼になって向かった食堂で、ネクタイをちょうちょ結びにしている銀花がカレーライスを前に、しょんぼりと肩を落としているのが見えた。
カレーが好きだから頼んだんだろうけど、食堂のカレーは中辛だって知らなかったんだろうな。
そもそも毎日お弁当だから、食堂に来たのが初めての銀花は知らないか。
オレは喜蝶が騒いでたから知ってたけど……辛くて食べられないのにどうするんだろう?
手の中にはきつねうどんの食券があって、これと銀花の目の前のカレーライスを入れ替えるのは簡単だけど……
「仁達がなんとかするかな?するよね?」
思わず漏れた言葉に返事を返してくれる人はいないってわかってるのに、ついそう言葉が漏れてしまう。
いつも三人でいるから、銀花がいれば二人も食堂にいるはずだし……って見渡してみるけど、人より頭がにょきって出てる二人をすぐには見つけられなかった。
あの二人が銀花を一人にするなんてことが今まであったかな?
銀花は行儀悪くスプーンでカレーライスをちょんちょん って突いては、勇気が出ないのかうなだれている。
食べ物は粗末にしちゃいけませんって小さい頃から言われて育ったせいか、食べずに残すって言う選択肢もないんだろう。
まぁでも、これもいい経験だよね?
そうだよね?
きっとそうだよ!
ってことで、オレは今カレーライスを食べているんだけど、オレとしてはもうちょっと辛くてもいいんじゃないかなって思う。
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