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お可愛いΩ お可哀想なα 42

 それなら三人別々の班になればいいのに頑なに固まるから大惨事になっちゃって。  結局駆け付けたオレが片付けとカレーの作り直しをしたんだよね……ってか、これ、自分の班と銀花達の班とを行ったり来たりしながらめちゃくちゃ頑張った奴だ!  なのにおせっかいとか思われてたってこと⁉  お互いに謝って解決したはずのことなのに、悪意ある視線に晒されるとつい思い出してムカッとしてしまって……  カレー作りの説明を聞きながらも睨んでくる二人にべって舌を出すと、 「今年は行かない!きっと三人だけで何とかするよ!」  って答えてそっぽを向いた。  なんだかんだ先生達が巡回してるし、去年みたいな今にも命を芽吹きそうな物体エックスは流石に作らないだろうって、オレは三人を信じてるからねっ! 「  えー……せっかくお近づきになれるチャンスなのに」 「  阿川くん入れた意味ないじゃん」  マモルと千鶴は声を潜めていたのかもしれないけど、意外と潜めた気分でいるだけで他の人は聞こえてたりするんだよね……まぁ、もしかしたら潜める気はなかったのかも なんだけど。  この場合、はっきり不愉快だよって言った方がいいのか、ごめんねーって明るく振舞った方がいいのか、どっちが良かったのかな?  誰にでもいい顔したい、あっちこっちに愛想を振り撒いちゃうって銀花に言われたところはこう言うところで、考え出すともうどう言う態度を取っていいのかわからなくなってしまった。  そのせいか曖昧な作り笑顔になちゃったから、きっとマモルと千鶴も居心地悪かったと思う。  そのことに気づいたシュンが「んー」ってちょっと考え込んだ後、二人の背中をバシバシっと叩いた。 「もう!二人ともホントやめなよ!そう言うので六華くんに入ってもらったんじゃないんだから!僕は六華くんと仲良くなりたかったのー!」 「でもさぁ 」 「だって 」 「下心ないと友達になれないとか、寂しいよ?せっかくなんだしさぁ楽しく行こうよ!」  「ね?」とキラキラっとした顔でお願いされて……  同性の二人から見ても可愛かったらしいそれは、オレからしてみたらめちゃくちゃ可愛い顔で……  オレがちゃんとしたαならこの場で告白してたかもしれない。  せっかくシュンがとりなしてくれたけど、二人はやっぱり残念がっていて、結果的にカレー作りの時に撮った写真はちょっとびみょーな顔になっちゃってた。  ちなみに、銀花達のカレーは鍋から逃走したらしい。  どうしようかな?とは思ってたんだ。  なんだか聞かれないままΩ認定されて、Ωばっかのグループで……  ちょっとラッキースケベ狙ってたとかそう言うことじゃなくってさっ!ホントにっ!

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