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お可愛いΩ お可哀想なα 48

 オレがここにいるって知らずに話す言葉は真実で、困っていたから助けてくれたわけじゃないって…… 「   ────じゃないと、あんなオメガっぽい子と仲良くなんてムリムリ!」  あはは!って笑い声に続いてお湯の音とか一緒に笑う声とかが聞こえて来て、拭おうとした涙が引っ込んでいることに気がついた。 「六華、行くぞ」 「……」  ごしごし擦っても手が濡れる感触はしない。 「だから、誰彼構わずいい顔したってバカを見るだけなんだよ」  そう言って仁がオレの手を引く。 「結局、俺達じゃなくてバース性しか見て貰えないんだもん」  義がもう片方を引いてくれた。 「マジ飢えたオオカミだよな」 「ホントそれ、オメガの子って手段問わないやつはとことんだよなー」  それでも、一縷の望みを口にしてみる。 「……き、聞き間違い とか    」 「   ────でもほんっと腹立つんだよ!食べても太らないとか!こっちがどれだけ食べたい物我慢してるかわかってないって、デリカシーなさすぎでしょ⁉︎」 「   ────あー。腹が立って、あの苦ーい飴あげた話?」 「   ────そー!ちょっとは痛い目みたらいいのに!」 「…………」  最後に縋りつくように出した言葉もその声に掻き消えてしまって、ぐいって引っ張ってくれる二人に連れられてトボトボと歩き出す。 「あの声、あれだろ、お前の周りをちょろちょろしてた奴だろ」 「ちょろちょろなんてそんな……」  仁の言葉に反論しようとしてたけど、何も言葉が浮かばないままに口を引き結ぶしかなかった。  薫と喜蝶のことで落ち込んでて……グループに入れなくて困ってるのを気にしてくれていたんだと、嬉しく思っていたのにな…… 「俺達もたけど、六華もそうなんだから、ホントにオメガには気を付けないと!どうしても同情引くようにされたらアルファとして放っておけなくなるし、最悪逆レイプとかもあるんだからさぁ」 「予防するに越したことはないしな、よっぽどじゃない限り下心があると思った方がいいって」 「あの親父ですら、オメガのハニートラップには気を付けてるんだから」 「抑制剤のお陰でなかなか匂いで番うってことが無くなって来たから、オメガも必死らしいって何かで聞いたな」  するすると続く二人の会話に割り込むことも、反論することもできなくて、犬の散歩のように引きずられて行くしかできない。

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