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いつも見ている彼は 1

グラウンドで走る君を見るのが好き……。 きらきらしていて自分には絶対ない力強さ。 いつも、いつも、気がついたら見ていた。 それが毎日の日課になるまで。 毎日、学校の帰りにグラウンドが見えるこの土手へ来てしまう。 だけど、気管が弱くて喘息をすぐ起こす僕にとっては、吹きさらしで冷えるこの場所にいる事はあまり良くない。 特に今の季節は気温の変化が激しいし。 高校生になってから、少しよくなったとはいえ、まだまだ、直ぐに咳がでてしまう。だから、こんな場所にいるなんてもってのほか…なんだけれども。 だから、グラウンドを見下ろすことができる土手の、できる限り陽が当たっている暖かいベンチを選んで座っていることにしている。見ている時間なんて本当は30分もないんだ。そっと見てすぐ帰る。そんな事を毎日している。 でも、今日はいつも見ている"彼"がいない。 どうしたんだろう?不思議に思って、今日はこのまま帰ってしまおうかなとか思っていたら。 後ろから、声がした。

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