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デート_1
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長谷さんから一緒に出掛けようと誘われて、行った先では長谷さんだけじゃなく陽翔と藍澤さんも待ち構えていた。
「あの……」
「今日は皆でお出掛けしようと思って。嫌だった?」
首を傾げた長谷さんにそんな事はないと笑えば、何故だか悲しそうな目をする。
何かしてしまったのかと声を掛けようとして、それよりも先に陽翔が口を開いたので遮られてしまった。
「んで、今日は何処行くの?」
集合したのは長谷さんの家の最寄り駅。
僕も行き先は知らされてない。
「今日はね、ここに行きまーす!」
と僕ら三人に向けて、長谷さんはでかでかとガイドブックを広げてみせた。
「あ、僕ここ知ってます。最近出来たテーマパークですよね?確か難攻不落な迷路が話題になってましたよね?」
「もしかしてテレビでCMやってるヤツ?」
「そうそう。僕もよく見るから気になってたんだ。ここに行くんですか?」
長谷さんはニコニコと頷く。
対して藍澤さんはとても面倒臭そうに溜息をついた。
「藍澤くん、言っておくけど今日は文句無しだからね」
「………分かってる」
嫌そうだけど二人の間には何か制約があるらしく、藍澤さんは大人しく付いてくるみたい。
「車は僕が出すから、移動は任せて」
「え、長谷さん車持ってんの?」
「持ってるよ。普段はあんまり使わないけどね」
と指先で車のキーらしき物を得意げにクルクルと回して見せてくる。
ぼ、僕も知らなかった……。車なんて持ってたんだ……。
「駅前の駐車場に停めてあるんだ。さ、行こっか」
長谷さんを先頭に僕らは後ろをついて歩く。
彼が足を止めたのは、黒いセダンの前。
車に全然詳しくない僕でさえ、それが高い車なのだと分かる。
黒い車なんだ……僕はてっきり……。
「いっがーい!白じゃないんだ?」
「どうして?」
「白の方が似合うと思ったから」
「そう?何か嬉しいな」
僕の心の代弁をしてくれるように陽翔は言う。
僕も……僕も同じこと思ったんだけどな……。
「それじゃ行こうか。助手席は郁弥くん、二人は後ろね」
ちょっとだけ落ち込んでた気持ちが、長谷さんの言葉で舞い上がる。
助手席、僕でいいんだ……嬉しい。
喜びを表現するのは恥ずかしくて言葉にはしないけど、自然と口元が緩んでしまう。
知ってか知らずか、そんな僕の頭を長谷さんの手が軽く撫でてくれて、僕は我ながら何て単純なんだろうと思う。
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