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番_8

鼻に届くフェロモンが一段と濃さを増す。 それを感じた瞬間、無意識に舌を舐めずった。 ――噛みたい。 白い項に噛み付いて、俺だけのものにしたい。 俺の、俺だけの番に………。 「あ……ぅ……つ、かさ………お願…い…………シて…っ…」 顔を背けて晒された白い首筋に抗う術なんてない。 掬い上げた身体を抱いて、より深く自身を埋め込み、狙いを定めるように肩口から首筋を舌で辿る。 誰にも奪わせない。 誰にも傷付けさせない。 俺の……俺だけの………。 「………陽翔、俺が愛した運命はお前だ」 こんなにも激しく求めるこれを、運命と呼ばず一体何だと言うのだろう……? 「――あ……ッ!?痛っ…………ふぁ……ぁ…ん」 突き立てた歯に伝わる柔らかな肌の感触と、生温かい血の味。 一瞬痛みに呻いた声も、次第に色欲を見せ、恍惚な喘ぎを聴かせる。 「ぁう……あ……きぃ……すき…すき………うれし……」 くっきりと付いた歯型を確認して、流れ出た血を舐め取った。 「あ、りがと……」 「礼を言うのは俺の方だろ」 「ね、どーしよ……きもちぃの、いっぱい……中ほし……つかさのね、匂いたくさんする…すき……」 とろんと落ち始めた瞼と呂律の怪しい言葉。 …………これは、完全にトんだな。 「はやく……ね、いっぱい…ちょーだい……」 「ったく…セーブする方の身にもなれっての」 「や…っ、ぜんぶほしぃ……くれなきゃ、や!」 グリグリと自ら腰を沈めてくる陽翔に、危なくイかされるところだった。 「……っ………くそ、後悔すんなよ?」 まあ、きっと半分も記憶に残らないだろうがな。 それから求められるがままにその身体を抱いた。 初めての番のフェロモンに制御が利かなかった自覚はある。 俺達は陽翔が気を失って事切れるまで、ただひたすら互いに熱を貪った。

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