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第1話

 ふや、ふや、ふや……景色が揺れる。  それに蛍光灯の光がやけに眩しい。  目を開けていられないとソファーの背に身を預けた俺の頬を誰かが撫でた。 「あれ? もう酔っちゃった?」 「酎ハイ二本って……お得な子だな」  両隣から先輩の声がして慌てて目を開ける。いくらなんでも一人だけ酔いつぶれて寝るなんて失礼だ。 「ごめんなさ……水、飲んできます」  立ち上がろうと体に命令を下すが、指一本も上がらない。

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