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第2話
実は酒を……と言っても酎ハイだが……を一本以上飲んだのは初めて。
地方から出てきて知り合いの一人もいなかった俺は、新歓に誘われることもなく、サークル勧誘にも二の足を踏んでいた。
馴染めないままに過ぎ去った四月。心細く思っていた俺に転機がやってきた。
初めての飲み会で、つい周りのペースにつられて二本を開けたが、途端に景色が滲み始め眠気が襲ってきた。
「恵兎 が水買いに行ってるから、待ってな」
「はい……」
恵兎は今日の飲み会に誘ってくれた同じ学部の友達だ。二時間続けての講義の時、隣に座ったのが切っ掛けで話をするようになった。
大学に入って初めての友達。恵兎の部屋での飲み会にはふたつ上の先輩二人も呼ばれていた。
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