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第7話

「小学生のときに友達の兄ちゃんがふざけて……」  歯が当たってちょっと口の中が切れた。ファーストキスの相手が男なんて普段は言わないのだけど、童貞なうえキスもしたことがないと思われるのが悔しくてつい、打ち明ける。 「小学生ね……絢太、くち開けてみな?」 「へ?」  僅かに空いた唇を割ってシオさんの親指が入って来る。歯の間に挟まれたせいで口を閉じられなくなった。何をされているんだろうと考えていると、やわらかな感触が唇に触れる。  指よりもずっと柔らかくて湿った何か……  ちゅっと音がする。  それから柔らかなものは俺の口の中にまで入って来た。開いた歯の間をぬってその奥まで。俺の舌をすりすりと撫でる。

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