7 / 37
第7話
「小学生のときに友達の兄ちゃんがふざけて……」
歯が当たってちょっと口の中が切れた。ファーストキスの相手が男なんて普段は言わないのだけど、童貞なうえキスもしたことがないと思われるのが悔しくてつい、打ち明ける。
「小学生ね……絢太、くち開けてみな?」
「へ?」
僅かに空いた唇を割ってシオさんの親指が入って来る。歯の間に挟まれたせいで口を閉じられなくなった。何をされているんだろうと考えていると、やわらかな感触が唇に触れる。
指よりもずっと柔らかくて湿った何か……
ちゅっと音がする。
それから柔らかなものは俺の口の中にまで入って来た。開いた歯の間をぬってその奥まで。俺の舌をすりすりと撫でる。
ともだちにシェアしよう!