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1st stage
「はっ……ぁ、はっ」
個室トイレの一室から息遣いが聞こえる。
その吐息に混じる声は、感じているのか甘い。
溜まってしまったのか、性欲が我慢できなかったのか、トイレで自慰をする人は少なくない。
だが、男はガチャガチャと震える指でベルトを緩め、性器を出すと便器に座り、普通にトイレですることをした。
「あっ、は、んん~~~」
自慰よりも頻繁に行い、精液よりも多く出る。
だが射精に似ている気持ちよさ。我慢して出すと快楽すら湧いてくる。
この男は我慢して我慢しての排尿がものすごく好きな人気アイドルだった。
「あっ……(まだ出てる。全然止まんない)」
どれだけ我慢していたのか男の尿は止まることなくまだ出ている。勢いも収まらず、便器に当たっては飛び散り溜まっている水は透明の色は消えてオレンジがかった黄色に変わっていた。
「んっ、んっ」
何秒続いただろうか。膀胱に溜まった尿を全て出しきるように竿を持ち、軽く振る。ちょろちょろと、尿道に残っている尿を出しきると、男は力を抜き、後ろに凭れかかった。
「(気持ちよかったー。今日のライブはアンコール2回もしてくれたからいつもより長かったな。でも、我慢した分すっげー気持ちいい)」
ライブ前にたくさん水分をとり、膀胱をたぷたぷにしてライブに挑むのがこの男の性癖。歌を歌ったり、ダンスをすることで高まっていく排尿欲。また、集まった客の前で排尿を我慢して快楽を得ているという背徳感。
前のライブでトイレを我慢したとき、この快感に目覚め男を虜にしてしまった。
コンコン
「奏、大丈夫?お腹痛い?」
我慢からの解放に呆けていると、扉をノックされ、心配する声をかけられた。同じグループに所属する最年長、音羽だ。
「う、うん。大丈夫、もう痛くないから!」
「そう?よかった。ライブ終わったら直行でトイレ向かうから心配したよ。今、着てる衣装、返すやつだから汚さないように気をつけてね」
「わかったー」
ライブ衣装は汚さないために、普段は脱いでからトイレに行くのだが、今日はあまりにも漏れそうでライブが終わったら真っ先にトイレに来てしまった。
しかも今日の衣装は丈が長く、白い。
濡れて染みにならないよう、気をつけながら立ち上がる。
汚してはいけない衣装ということさえ奏には快感となってしまう。
「(衣装でトイレってのもハマりそう……いや、流石にそれはダメだ!)」
奏にとって駄目の境界線がわからないが、今度からは漏れそうでもちゃんと着替えてトイレにくる事を心に決め、飛び散った尿を拭いていく。
「(あ、ここも飛び散ってる)」
備え付けのアルコールをトイレットペーパーに染み込ませ便座、便器と拭いていき、床へ。
もうないか、と扉を向くとそこにもかかっており、どれだけの勢いがあったか物語っていた。
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