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手を洗い、メンバーが待つ楽屋へ向かうと、既に二人は着替え終えて、もう一人のグループメンバーが音羽のスマホを覗いていた。
「あ!奏、やっと帰ってきた!早く着替えて!」
「悪い悪い。今から着替えるから。でも、急いでどうしたんだよ。この後、仕事なかっただろ?」
「だからだよ。久しぶりに3人で飲みにいこうかって話しになったんだ。明日の仕事も午後からだしね」
もう一人のグループメンバー、最年少の楽人に急かされ、衣装から着替えようとするが、そんなに急ぐ意味がわからない。言葉が足りない楽人の言葉をスマホから顔をあげた音羽が代弁した。
久しぶりに三人で飲みに行くとわかると奏は、急いで衣装を脱いだ。個室を予約したという音羽の言葉にサムズアップポーズで返し、軽く手櫛で髪を整える。お世話になったスタッフにお礼の挨拶をして居酒屋へ。
最初は真面目に、ああした方が良かった。あれは盛況だったから次もやろう。と今日のライブの反省だった。
だが、気心しれたメンバーという事もあってお酒もぐびぐび進み、会話は自然と女の話しになる。だが、盛り上がっているのは発言者の奏のみで、他の二人はあまり気分がのっていない。
「今日、俺に、手振ってくれた子可愛かったなー」
「奏は可愛い子が好みだっけ?」
「うーん。まぁ、どちらかといえば可愛い子かな。綺麗なお姉さんより守ってあげたくなるような子の方が男として本能的に?」
奏の言葉に音羽はそっか、と口を閉じ、その場は無音になってしまった。
「えっ俺、何か変なこと言った?音羽、好みちがっ」
「ねぇねぇ!明日の仕事で行くとこさ、この前テレビで紹介された海の家があるとこなんだって!早く終わらせて行こうよ!音羽、一緒に食べよっ!」
「えっ俺は!?俺、仲間外れ?」
空気を読まずか読んでか、楽人が話題を変えて場の雰囲気が戻った。その後、奏はシメに焼酎まで頼み、帰る頃には足元がおぼつかない状態になってしまった。
「俺、奏を送ってから帰るよ」
「うん、それがいいかもね。あの調子じゃ何かスキャンダル起こしそう」
「楽人も気をつけてね」
「大丈夫!僕ザルだってことよく知ってるでしょ」
それほどお酒に強くないのに大量に飲んだ奏を、あまり飲まなかった音羽が家まで送る事となった。ちなみに奏につられて同じくらい飲んだ楽人は、童顔の顔に似合わずケロッとしている。
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