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01※
※女性モブとの性描写がございます。
苦手な方は次ページまでホップステップジャンプ推奨。
「あっ、ぁ……っさ、きくん……あっぁ……!」
「ん……なに? もう限界?」
暗い室内。うるさい音響。うっとおしいネオンライト。
その程度の感想しか出てこない場所が、ライブハウスというブラックボックス。
人混みは嫌いじゃないが、俺に触れる他人の手足や物は鬱陶しい。
だからテキトーに誰かに声をかけて、すみっこでランデブー。
テキトーに。
誰かにつれてこられたんだろう、こういう場所には慣れない様子でソフトドリンクを飲んでいた女がいた。
他にも何人か目星をつけてできそうな隙を待っていたが、今回はこの女が無防備にヒットしただけのことだ。
俺にとってテキトーに見繕うとは、手頃な相手を見極めるということ。
暇つぶしに労力使いたくねーじゃん。
ライブハウスのような若い人間がゴタゴタと集まる薄暗い場所には、チャラついたアホがうようよいる。出会い目的もナンパ目的もいるからウィンウィンで当たり前。
で、見るからにナンパ目的じゃねーってわかる女がそうだとわからないアホに絡まれるのを、酒を飲んで待つ。
バーテンダーと緩い会話を交すだけ。
絡んで、ごたついて、アホが増長した辺りで捻った。止める? ねーよ。
『えっ、え、と、っ』
『トロいなぁ、アンタ』
別にヒーローみたいに乱闘してモブを倒したりしなくていいのだ。
彼女の知り合い顔をして顔を近づけ、迷惑そうに聞こえる声量でアホをヒソヒソしておけばいい。彼女には耳元で少し囁く。味方のような声音で。それだけ。
こうやって煙たがられるだけでも、普通の人は嫌がるもんなのよ。
排斥されたくないらしい。意味わからんよなぁ。常識ってゆーグループに属してないと落ち着かないくせに、非常識ってゆーグループに憧れてピヨピヨ囀る。
それでも一人絡んできたので、そいつとはちょっとだけ遊んだけどにゃん。
顎の骨って、硬いから殴るの大変。
撃退したあと、俺は二人分の酒を注文して、彼女の隣に座った。
『ごめんなさい! 助けてもらって、迷惑でしたよね……』
『んーん、暇だったからいーよ。でもまた来たら面倒かも。ここケッコー出会い目的って風潮あるし、今日は特別客が多いからネー。女の子一人じゃ狙ってくれって取られてもしゃーないべ』
『え、嘘っ、全然そんなつもりじゃないのにどうしよう……!』
『俺が隣で飲んでてあげよっか?』
『っそ、それはそのっ』
『嫌?』
『いっ! いやじゃないです!』
『あはは、よかったデス。てーかなんでさっきから挙動不審なわけ? 変な子だな。そんな緊張しなくても、暇だから一緒に飲むだけ。迷惑じゃねーよ。ね?』
『あ……ふふ、はい。ありがとうございます。私、緊張してたみたい』
笑うと犬みたいで、面白かった。
注文したカクテルを受け取る。レディーキラー系のカクテルだ。
一見するとチョコレートミルクのこれは、アレキサンダーという。
俺、犬はたぶん嫌いじゃないよ。
『アンタ、笑ったほうがかわいいんだね。一人で飲むより、その顔を見てたほうが楽しい気がする』
『っそ、そうですか』
『ソウデスヨ。コレは奢り。甘くて美味しいから、飲めそうなら付き合ってちょーだいな』
『ふふっ……はい』
距離を詰めるのは上手い方だ。
酒を飲みながら彼女の話を聞いて、髪に触れて、頬をなでて、最後に笑って。
おいで? と言うと、ついてきた。
ついてきたから、キスをした。
嬉しげに甘えてくるものだから、舐めて、脱がせて、素肌を触って、人目につかない場所で秘め事を始める。
うん。こっちのほうが面白い。
大きくゆっくり出入りしていたが、大胆に求め始めたのでテンポと角度を変える。浅いところ、ちょっと上? このあたりかね。肉に引っ掛けて、ゴシゴシしてやろう。
声ではなく体の反応を見つつ中を穿つとトロけた悲鳴があがり、柔らかい襞が俺のモノにべったり張りついて収縮した。お、アタリ。
女は感じないと濡れねぇからさ。
それに俺に奉仕したいと思わせたほうが、中締めてくれるじゃん。
腰を抱き寄せて耳と首元を甘やかしながら指で挟んで押しつぶすように陰核を攻めると、たまらないとばかりに腰がくねる。
グチョグチョに濡れた結合部から愛液が溢れ、床にシミを作った。
ありゃ、太ももヌルヌルじゃん。帰りどうすんの? ノーパンかな。
あとゴメンネ。ストッキング伝線させたわ。だってめちゃくちゃ押しつけてくるんだもん。指滑るしヤリにくい。
「あぁ、っも、イッ、くっ…あっ……っさきく、っ……ん、んん……っ」
名前を呼んでキスすると、ビクビクと小刻みに腰を弾ませて中の襞が激しく蠕動し、一際キツく締め上げる。
イッたっぽい。
けど、俺はまだ。だからもうちょっと。
「んぁ、あ……っも、無理……っ」
「だぁめ……まだ、付き合って」
ライブが終わるまで、暇なんだよ。
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