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10(side蛇月)※

  ◇ ◇ ◇ 「はい、一分二十三秒ぉ〜」 「ッは、ッ……はッ……ぐ、も……ッひ、ッ……」  もう何度目かの感覚。  下腹部がパンパンに膨れるほど胎内に注ぎこまれたシャワーの湯を、後ろの穴から無様に排水する感覚。  どれだけ我慢してもいつか限界がくる。  ビチャ、ビチャン……と大腿を伝って生ぬるい水が漏れ始めると、震え上がる背後から、楽しげな声が聞こえた。  それと同時に我慢のリミットを超えた括約筋が決壊し、ヂョロ、バチャッ、と恥ずかしい音を立てながら中の湯が全て浴室の床へ滴り落ちてしまう。 「あーあ……だんだん我慢できなくなってんじゃんタツキィ? それともオマエの緩い口は、もうシャワーヘッド程度じゃもの足んねぇの?」  銀色に光るシャワーヘッドをぷらぷらとゆらしてアハハと笑うのは、俺の大好きな人だ。  息吹 咲野。咲。その人。  フワフワと柔らかい髪質の白に近いクリーミープラチナブロンド。  それが似合ってしまう白い肌と異国を思わせる造形を持つ美しい顔立ち。  面差しに男臭さは皆無だが、間違いなく男らしい。  色っぽく細まるクールな双眸やスッと通った鼻梁に薄い唇が、絶妙なバランスで配置されている。  個人の好みを除けば咲はハイレベルな美形だ。咲がキレイなのは獲物を誘き寄せる罠なんじゃないかと、いつも思っていた。  上等なリネンの黒いシャツに包まれた引き締まった体躯は、欲望と下心を抱えた俺にはちらりとも晒さずに隠されていた。  グレーのシャツと黒いベストを肌に張り付かせて、むき出しの下半身を弄ばれる俺とは大違いだ。  その手のシャワーヘッドは何度も俺の中に入って、そこから滴る水流で何度も俺を満たし、苦しめた。  体内洗浄と言う遊び。  下腹部が孕んだようにぼこりと浮かぶほど多量の温水を注がれ、それを吐き出さないように命じられる遊びだ。  湯を注ぐ最中。  体内からの圧迫感に俺が苦しがると、咲は必ず俺の体にキスをした。  萎えた性器を愛撫して、乳首や太ももの付け根なんかの俺の性感帯を、安心させるように丁寧に刺激してくれる。  優しくしてくれるんだ。  たくさん、優しくしてくれる。  恋人みたいに、大丈夫か? もう少しいける? ってキスをしながら。  頷くと、頑張り屋さんだなぁ、いいこじゃん、って褒めて頭をなでてくれる。  それはもう、幸せで、幸せで。  俺はその瞬間は、なんだって耐えれる、なんだってできるって、強く思う。  でも何度もそうされたせいで俺の身体はおかしくなってしまって、シャワーヘッドを直腸に突っ込まれて水攻めにされると、咲の愛撫を思い出して勃起してしまうんだ。  だから今も、苦しくてたまらなかったはずなのに、俺の陰部は勃ち上がって透明な汁を滴らせている。 「ぁ、ゔぁ……」  気持ち、いい。  お腹いっぱい、咲の。  咲に施される過激な調教や濃厚なプレイで感じられる体になったとするなら、俺はそれでもいいと思った。

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