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16(side今日助)※

「ぁあ…っああ……っ」  引き抜く寸前まで引いて、またしっかりと根元まで押し込む。  そのたびに足の先をキュッと閉じては開いて、全身がブルブルと震え上がった。  咲のが長いから届く。直腸の突き当たりを他人に押しつぶされてその先まで抉られそうになって、内臓ぐちゃぐちゃにされてバカになるくらい感じる。 「イキたい……イかせて、咲……っん…ぁっ……頼むからもう……おかしくなる……っうう……はあっ……さき……イキたい、っぁ、あっ、ぁああ……っ」 「ンー? イッてんじゃん」 「ンゥ、ンッ、はっ…はっ……っこっちじゃ、ああ……っ違うぅ……っ」  ぎゅぅぅ……っとキツく締めつけてひくひく痙攣しながらうねる内部を笑って犯され、またビクンッ、と達した。  出さずにイッたばかりの穴をぐぽぐぽ出入りされて快楽だけは与えられるから余計に辛くて、俺は一生懸命イかせてと頼むけど咲は無視して酷く突き上げる。  そうするとずっとイキっぱなしだ。  出せないのに終わらない。気持ちいい。泣きたい。死にそう。イキたい。しんどい。イキたい。イキたい。気持ちいい。  外に声が聞こえないよう、シャワーの音でかき消される程度のオネダリをしながら腰を揺らして、俺の人間性までトロけていく。 「ほら。見て?」 「あ゛ぅ……っ」  グリッ、と一度深く強く奥を突かれて仰け反った頭を乱暴に掴まれ、無理矢理に前を向かされた。  俺の目の前──浴室の鏡。  曇りどめの効いた鏡は雫をまとって汗ばんでいたが、それでもきちんと映し出す。  濡れた床に縋る浅黒い褐色のカラダと、そこに飛び散る、泡、体液、汗。  高く上げられた尻には筋くれだった熱い杭が、深く根元まで打たれている。  そして短めの硬い黒髪を掴まれて瞳を潤ませる情けない男の顔。  赤く上気した頬に、欲情しきった甘やかな瞳は、紛れもない自分のものだ。 「きれいだろ? 愛情深くて優しいオマエは、凄くきれいだ」  ヒク、と喉の奥が引きつった。  一瞬硬直した俺を無視して、俺の屹立を戒めていた手が肌を這って首にかかる。 「よく見な。いつもキラキラしてて、誰よりも綺麗なキョースケ……くく」 「ぁ…っん、は……ッふ」 「壊してやりたい」  髪を掴んでいた手を俺の口元へ、そしてその指を口内へ滑り込ませて気道を阻害しながら、背後から耳元で無邪気な声が囁いた。  麻薬のような、呪いのような、不思議な響きで耳朶をなでる咲の声。  違うよ、違う……醜い傷ばかりついた俺の汚い身体を綺麗だなんて、お前のほうが、ずっと綺麗なのに。  口内を犯しながらグンッ、と左手で仰け反らされた喉を、右手が首吊りさせるように的確に締め上げた。  そうされると片手でも十分に空気を排除するから、俺の思考は燃え上がるように煤けていく。  限界を迎えても縛られていたものを戒める指はない。  首を絞められながら小刻みに中を突き上げられ、鏡の中の俺は閉まらない口元から唾液をこぼして動物らしく喘ぎ、腰をくねらせて悶える。 「ひっ…ぃひっ……ひあ……っ」 「ンー……この体勢あんま強く、動けないから、中ぎっちり締めて感度上げな?」 「ぁひ、が、ッ……! …ッ……ッ」  バカ、それなら俺の首を絞めるのをやめてくれればいいだろ。  なんて考えることももうできなくて、俺は返事の代わりに内壁の構造ごと咲の形になりそうなほどキツく、貪るように肉杭を締め上げて応えた。  襞の一枚一枚が咲の肉棒を包み込み、ひとつになろうと粘膜をへばりつかせてトロけていく肉穴。  腹の中の圧迫感が増して直腸内をみっちり埋める怒張を意識してしまい、激しく犯されなくともじんわりと独特の快感が甘く広がって、イキたくて仕方がない俺はしゃぶるように夢中で襞を動かす。 「ハッ……イイコ」  自慰にも似た俺の動きを褒める咲の声には確かな熱が滲み、ゾクゾクゾク……ッ、と背筋が粟立った。  もっと聞きたい。  もっと気持ちよくなってほしい。  もっと感じさせたい。  心の奥の滾るそんな欲望。  元々したがりの俺は咲の動きに合わせて必死に中を締め上げ、背骨を反らせる。  俺の脳裏にはなにもない。  数分前に去っていった彼女を思いやる心なんて、微塵も残っていないのだ。

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