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15(side翔瑚)※
──それからホテルに行って、シャワーを浴びて、準備をして、ベッドに寝そべる。
俺はどうしたらいい? と首を傾げる咲を抱き寄せ、彼の心臓の音を聞いた。
肌を触れ合わせることで、心を触れ合わせようと思ったのだ。
不安がシミを作る前に咲が俺を抱きしめてくれて俺はとても安らいだから、咲にもぬくもりを感じてほしかった。
されるがまま、俺に身を任せる咲。
腕の力を強くすると俺の背に腕を回して、お前は温かいと笑う。
抱きしめた咲の体にはどこか違和感があった気がするが、上がり始める体温が理由を考えることを許さなかった。
そのうち火照った体が抑えを失い、ベッドに誘うと痛めつけることはなく柔らかな愛撫が降り注ぐ。
不思議な気分だ。
俺の言うことをうん、うん、と頷いて聞き、俺が求めるとひとつ残らず叶えようと愛してくれる。
嬉しいのにどこか夢心地になる。
「っふ……はっ、ぅ……っ」
いやというほど感じさせられてベッドに沈む肢体を手繰り寄せ、丁寧過ぎるくらいに拡げられた秘所へ、待ちわびたものが徐々にに潜り込んだ。
丸く張った生々しい先端がグプ、と肉の輪をくぐり抜けて眉根を寄せる。
浮き上がった血管がわかるほど長大な怒張が、ゆっくりと俺の奥を目指し進んでくる奇妙な感覚。
ゴムを弄ぶ咲に俺が「着けないで犯してくれ」とねだったから遮るものがない。
恋人同士の普通のセックスがテーマでも隔たりはいらないと欲が疼いた。
そんな薄っぺらい欲しがりだ。
……独占欲とも言うのかもしれない。俺は余すところなく咲が欲しいのだろう。
背筋 を丸めて息を吐くと、背後から腰を掴んで貫かれるに合わせてゾクゾクゾク……ッと背筋が粟立つ。
絡みつく肉襞を振り切ってやたら遅々とヌルヌル押し込まれるモノが、ようやく全て収められた。
ペタリと肌同士が触れ合い、内部がギュウ、と締まる。
「ふ。そんな締めなくても逃げねって」
「ン……勝手に……咲、強くしてもよかったんだぞ……?」
「痛いのやなんだろ? まだ強くしねぇよ。フツーに、ショーゴの気持ちいいとこいっぱい擦ってあげる」
「っあ、っ…あ、ぁあ……っ」
咲は溶けきった中が大きさに慣れるよう小刻みでスローな抽挿を送り、言葉通り俺を快感のとろ火で炙り始めた。
俺は自分から求めるのが苦手だからセックスが下手くそなままなんだ。
それに咲が正面から俺を抱いているのも珍しくて視線の置き場に困り、ただ脚を開いて突かれるがまま喘ぐ。
ゆりかごを揺らすような律動。
そんな微笑ましいものじゃなくてもっと生々しい性行為なのに、喉の奥が裏返りそうになった。
ベッドのスプリングが軋む音。デカイ男二人分だ。目をつぶって耐え忍んでいてもよく聞こえる。肌をぶつけ合う湿った破裂音も。
「はぁ……っ、んっ……っぅ…ん……っ」
自分で触るように誘導されて、足の間で蜜を垂らす肉茎をヌチュヌチュと緩やかに揉みあげて慰めた。
尻たぶに咲の肌が触れるたびに体が弓なりにしなり、空いた片手はシーツを掴む。
何度か繰り返し短い突き上げを重ねられると、絞っていた肉茎の先端からドクッ、ドロ、と濃厚な白濁液が我慢できずに溢れ出る。有耶無耶にイッてしまった。
それでも前立腺をこそぐようにズッズッと出入りされると躾られた俺の体は小刻みにゆるくイキ続け、甘ったるい管をまいてはブルブルと痙攣に似た震えに鳴くのだ。
「そこ、っふ…っあっ……ぁあ……っあ…ぁっ…はっ」
「ショーゴ、もちっと動く」
「っんんっ……! ン、ッン…!」
そうして浸るさなか、ボソリと囁かれたかと思うと肌を打ち合う律動が体重を乗せた穿ちに変化した。
「痛くねぇでしょ。ほら、ちゃんと感じて、ショーゴ。俺はわかんねぇから、お前は死ぬほど感じて」
「んぁっ、ぁ、っぐ」
言いざまチュ、と背中にキスをされて耳から犯されているのかと錯覚する。
小刻みな抽挿は大きなグラインドへ変わりスローなまま一突き一突きが深い。
ズルリと腰を引いては俺の弱い角度を的確に整え、深く押し込む。
ぐぽっぐぽっとそれをずっと繰り返されると直腸の行き止まりあたりがむず痒くなって、俺は奥歯を噛み締めて喘いだ。
裏側から腹筋をドンッ、と押し上げられているような気がして苦しいのに、柔らかく溶けた中が咲のモノにギュウギュウ絡みついて、手の中の肉棒が痛いくらい感じる。
「ぉ、奥、クる」
「ココ?」
「そっ、こ、そこ、っあ、あっ」
奥を強く押しつぶすようにノックされ、キレのないぼやけた声が「あ、あ、あ」と上がり続けた。
無理のないたゆたう快楽だ。敏感に火照った襞を残らずこそぐ。
喉奥から俺を貫くモノが顔を出しそうな圧迫感があるが、痛みも苦しみもない。
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