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04
──その後。
言葉だけじゃ咲の愛が全て伝わる気がしないので、二人ともベッドに運んで一緒に抱き、どちらともなく「連休は二人一緒に謳歌する」と懇願して丸く収まった。
シャワーを浴びつつ二人のために風呂の湯を溜める咲を送り出し、寝室に取り残された二人は、しっかり満足させられ揃って横たわる。
「かまちょしたら予想以上にデロデロに甘やかされて、末路がコレとか、ヤベェ……とりあえず、咲スキィ……」
「今回は少し、堪えたな……わかりにくい咲がわかりやすく言うと、私たちはオーバーヒートすることになる」
「それなァ。でも忠谷池サン、ちょっと手加減してくれてもよかったのに……」
「お生憎様、私は咲の恋人たちには一切手加減をしない。まぁ、キミは野山や初瀬よりタフでテクニシャンだよ」
「うへ。バイブ向けねェで」
雑に向けられたローションで濡れたバイブに、蛇月は眉を顰めて顔を背けた。
理久には勝てない。
理久はオトナだ。
咲と揃って蛇月を犯している時も、蛇月と咲に犯されている時も、うまくやって感じている。あ、あと乳首に低周波装置を挟んで亀頭と連結させても、悦んでいた。
咲がエネマグラをボンデージテープで固定してフックに引っ掛けてギコギコ船をこがせていたのに、理久は嫌だとも無理だとも言わなかった。悔しい。
蛇月はそんな理久のアソコを舐めていたわけだが、咲に腕を挿れられて、これじゃしゃぶれないと泣き言を言った。悔しい。
蛇月は咲だけのニャンコで、咲を害する相手は鋭い爪で引っ掻く。
けれど理久と春木。この二人は、咲の忠犬と愛猫ながら、咲以外には飼い慣らせないモンスターだ。蛇月は理久がおっかないし、春木はいけ好かない。
まぁ、喧嘩はイーブン(やや負け気味)な春木には、性技とマニアック経験値で圧勝しているので蛇月はドヤ顔ができる。
それに対して可愛げ以外何一つ勝ち目がない理久が怖いのは、仕方がないことだ。
「あーあ、オトナってふしだらだなァ……そんな、意欲的にオレを抱いたり、抱かれたりィ? 咲が楽しいならいいケド、オレ個人的には、別に忠谷池サンをイジメたいとか思わねーモン」
不貞腐れて、拗ねてしまう。蛇月は咲を信仰するばかりで、隣には立てない。
「意欲的で当然。私は、咲の命令で咲の愛する人と余興に興じているのだろう? 命令に従う。そして期待値を超えて要求に応える。咲を喜ばせるためによく働く男だと、咲の目の前でアピールできるんだよ。最高に……興奮するがな」
メガネのない双眸が閉じられ、珍しく理久の口元が緩んでいた。──なるほど。それは蛇月も、同感だ。
二人がゴロンと大の字に横になっても余裕のあるベッドには、アダルトグッズがそこここに転がっている。
咲のモノは一つしかないので、二人以上を相手にする時はオモチャが大活躍した。
それに咲は趣向を凝らして恋人たちを絡ませ競わせ、気分を大いに高ぶらせるプロフェッショナル。
いつか咲が「オマエは俺の命令で壊れていく自分が気持ちいいドマゾだから、アブノーマルなほど興奮すんだよね」と、蛇月に笑いかけたことがあった。
カミサマはいつも見抜く。
おっしゃる通り。丸裸の淫らな内側。
そういう意味では、真逆に位置する蛇月と理久も、意味は多少違うが〝身を粉にして従いイイコだねと可愛がってほしい〟という欲望があるなら、似ているのかもしれない。
「忠谷池サン。オレ、伊豆に旅行行こうと思ってたんだよなァ」
「私は台湾だが、時間が減ってしまったからね。伊豆で構わない。三人分手配しよう」
「観光プランはオレが考えるゼ。あ、デモ旅館の部屋は、個室露天風呂」
「必須だな」
のそりと起き上がってメガネとスマホを手に取り、どこかに電話をかけてサクサクと段取りする理久。
バケモノ体力だ。
……やっぱり似てないかもしれない。
蛇月は気だるい体を丸めて、伊豆旅行のため、今しばらく体力の回復に務めた。
了
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