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「オレは、赤ちゃんでもイイかも」  そうするとイイコで引っ付いていたタツキが、同じように俺の体へスリスリと頬ずりして、上目遣いに俺を見つめた。 「赤ちゃんになりてーの? タツキ」 「ウン。よちよちシてたら、目が離せなくなるんじゃないかって、ちょびっと思うゼ。……でも咲に手ェかけさせたくないから、大人になりてェ時もある」 「ワガママじゃん。オマエらは、無い物ねだりが好き過ぎる」  二人の髪を掴んで、強引に顔をあげさせたい衝動に駆られる。  けれどフツーは恋人にそれをしないと考えて、我慢する。  代わりに頭を押さえつけて、二人一緒に胸元で抱きしめた。  揃って「んぶ」と苦しげなうめき声が聞こえるが、痛くしてないから問題ない。  なんせ、ちょっと喋らないでほしいんだよにゃ。吐いちゃうかもしんねーだろ? 直視するのもやだから、しばらくそうしてちょーだいな。 「気持ち悪くて鳥肌立つこと言うよ。俺のこと嫌いになってもいいけど、そうならないルートのが好みだから言わなかったことだし、黙って聞いてろな?」 「ん、む」 「むぅ、う」  モゴモゴと動こうとする頭をポンと叩いて、注意事項。  そも、どっちが俺に好かれてるかとか、普通に聞けばいいのにね。年下年上って、文字の並びに意味なんかねーよ。 「俺、オマエら()好きだよ」  だから、文字の並びよりは多少意味のある言葉というものを使ってみる。  ほら、気色悪いじゃん?  俺に好かれるってさ。 「歳なんか関係ない。受精卵でも白骨死体でも好きだよ。オマエらだから好き。優劣つける必要ねーな。ごめんだけど、マジで頭バカになるくらい好きだもん。ホント、オマエらが喧嘩してバイバイしたら死んじゃいそうなレベルでね」 「隠してねぇから、わかりやすくてキモかっただろうけど、俺初めからずっとビビってたじゃん? だっていつ喧嘩別れするか読めないし。アハハ」 「いっそ体二つに裂いてくれたほうがイイのにって思ってた。あ、今裂く? いーよ? そんかし喧嘩しねーでね。いや、喧嘩してもイイけどバイバイしねーでね。オマエらがしたいならしてもイイけど。でもバイバイする前に一回俺を裂いて解決できないか考えてみ。なんせ裂かれるより手放すほうが難しいよ」 「? なぁ、聞いてんの? 今ね、俺がどんだけオマエらのこと好きかって話してるよ。それが伝わってねぇから〝どっちのほうが好かれてる〟とか無意味に話するわけじゃん。ごめんね。もっと言い方考える」 「なにがいい? 大好きとか愛してるとかアイラブユーとかのほうが好み? ン? タツキ? アヤヒサ? なんか耳熱いね。風邪引いたの? 抱っこしたげるから寝る? 医者テイクアウトする? 俺に伝染しとく? なぁ、なぁってば」 「もしかして、俺と話すの嫌? 俺の声嫌いなの? じゃあ黙るけど、風邪治してからでもイイ? あ、ショーゴとキョースケ呼ぼうか。すぐ治るよ。ハルはそういうの苦手だし病気しねぇからわかんない。ハブったら拗ねるから呼ぶ。どれがいい? オマエらのしてほしいこと、俺は全部イイと思う」  ツラツラと思うがままに説得してみると、抱えた頭が熱を増して身じろいだ。嫌がられると困るから、熱い頭を丁寧になで続ける。 「さ、咲……」 「咲……」  あはは。なんだよ、そーんな甘えた声出しちゃってまぁ、泣きそうなの? あぁ、熱っぽいのは風邪じゃなくて、発情してたからか。なるほど。把握。一安心だわ。  それじゃあ後の問題は、連休の扱いをどうするかということだけだろう。  望まれてねーことあんま言いたくないけど、今回だけは仕方ないかにゃ。  だって、どっちのほうが俺に好かれてるか決めるっていう、無理難題をこなさなきゃじゃん。  俺はわかんない。  ──なら、決めてもらうしかない。  普段は口から出さない女々しい〝大好き〟をゲロゲロ吐き出すから、俺がどちらのほうが好きなのかを、選んでもらおう。 「ちゃんと聞いて、ジャッジして? 語り尽くすまで、一生かかるかもしんないけどネ」  ま、ヘーキでしょ。  連休は始まったばっかりだぜ。

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