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第3話
簡易ベッドに、抱き合うように倒れ込んで、また
続きを急くように、口付ける。
気付けばお互い、笑い合ってた。
裸の肌が、スベスベで気持ち良い。
人の肌って、こんなに暖かくて、気持ち良いものだったんだな。なんて、ある意味当たり前な感想を抱きながら、触れ合う箇所が、くすぐったい。
「敏志」
耳元で囁かれ、息が掛かって身悶えた。
「俺と、同じ事シテ」
男同士の仕方を、教わる。
するりと掌は俺の胸元を滑り、小さな突起を擦り上げる。
「ふは」
くすぐったくて漏れる声に、翔は楽しそうに笑った。
身体だけじゃなく、心までくすぐったくなって、
それを誤魔化すように俺も真似て翔の胸元の突起を擦り上げた。
「ン。ぁ」
俺とは違って、色っぽい声を漏らし、身悶える翔が可愛いくて、しつこいくらいにコリコリ擦る。
「あ。ぁ、ン」
ヒクつく身体に、声に、自分でもチンコが反応するのが分かった。
「翔、えろ‥‥」
口に出したら、上気した頬を更に紅潮させ、
「ばぁ~か」
なんて可愛い事を言ってから、これ以上何も言えないようにするためか、俺の口を塞いだ。
「ん。ぅ」
蠢く舌が俺の舌を絡め取っては吸い付き、啜り切れなかった分は僅かな隙間を縫って、口から顎へと滴り落ちた。
キスだけでこんなに感じるのに、これ以上したらどうなってしまうんだろう。俺。
不安のような、期待のようなザワつきを胸に覚えて、止まっていた手を再び動かすべく、翔の突起を親指の腹でなぞる。
「ン.ん、ンふ‥‥」
ビクビク反応しながら、口が塞がれて出せない声を、必死で我慢しているようで。
でも鼻から抜ける吐息ですら、俺を容赦無く煽る。
「は。ぁ‥‥」
ようやく離した口唇から漏れ出た吐息は、やっぱりエロくて、鼓膜が『もっと』とせがむ。
2人共十分に“完勃ち”で、早く開放されたくて苦しそうだ。
「ぇっ、と」
やりやすいように上体を起こし、さっき教わった通り、俺は翔のソコを掌で覆うと、ゆっくりと上下させて行く。
「ンッ」
小さく反応を返す吐息が、上手にやれてる事の証明みたいで嬉しい。
先走りが溢れて俺の手を濡らすと、俺の動きを滑らかにサポートしてくれる。厭らしい音のおまけ付きで。
「じゅ、くちゅ」
と音を響かせ震えるソコは、別な生き物みたいにビクビク動き、まるでその生き物に支配されてしまったみたいに、翔は腰をうねらせる。
「ア、ッ!ンッ!ぅぅ、んッ」
本当堪らない。
堪らなくエロい声に耳を澄ませ、涙目で顔を真っ赤にして、薄く口を開いて悶える翔に見惚れる。
「は、ぁン!、さと、しィ」
突然俺の名前なんか呼ぶから、腰が抜けるかと思った。
そう心では思ってるのに、身体はフラフラと翔に引き寄せられる。
覆いかぶさるように身を屈めながらも、扱く手は休めず、空いた方の腕で翔を抱き締めれば、すぐに背中に腕が回された。
「さ、と‥‥さ、としぃ」
ダメだって。そんな、耳元で。
そんな、エロい声で。
俺の名前なんか、呼ばないで‥‥
挿れてもないのに、イきたくないよ。
くねる腰、ヒクつく身体、濡れそぼる声に、脳の神経を焼き切られそうだ、と思った瞬間
「!ッ!てッ!」
背中に爪を立てられて我に還る。
お陰で自分を取り戻せたと安堵しかけた時、翔の身体がビクリと跳ね、白濁した液体を自分の腹の上に放出した。
「ンッ‥‥はぁ‥‥ぁ」
荒い息を吐きながら、全身の力が抜けて行くのが分かる。
クタッとなった翔がやけに可愛くて、ついついニヤケてしまった。
「かゎぃ‥‥」
思わず漏れた本音は、言い終える前にまた、両手で頬を掴まれて、翔の唇に塞がれる。
「んー!」
抵抗しようとしたけれど、翔の力に敵う訳も無く。あっさり舌を差し込まれて
「ッ、ん、ン‥‥」
んで気持ち良くなっちゃって
また舌を絡め合う。
さっきまでクタクタだったくせに。油断した。
今度はお前の番だ。とでも言うように、簡単に体勢を入れ替えられて、今度は俺が組み敷かれる。
「ちゅ」
と音を立ててようやく離した口唇は、にやりと片端を歪めた。
「たいへん良く出来ました」
言ってまた軽くキスするから
「はぇ?」
変な声が出た。
「ご褒美に、気持ち悦くしてやるよ」
今度はしっかり笑顔になってから、首筋に舌を這わされる。
「ぅ。わ」
こんな所、初めて舐められた。
「ジュ。ッちゅゥ」
エロい音を立てて、痛いくらいキツく吸われる感覚がある。
「“俺のだ”って、印付けといてやったから」
「へ」
さっきからカッコ悪い声ばっか出て、なんだか悔しい。けど
「俺の‥‥って」
それってなんか、すげー殺し文句。
これって、“独占欲”‥‥だよね?
俺なんか、を、束縛したいって、思ってくれんの?
やばい。胸がいっぱい。顔が熱くなって行くのが、自分でも分かる。心臓が、バクバクいってて、せっかくの翔の声も聞こえなくなりそうだよ。
「敏志は、俺の、
俺だけのもの。でしょ?」
上から覗き込んで、鼻先が触れるほど顔を近づけて言ったのは、表情を見られるのが恥ずかしかったからなんだろうか?
また触れるだけのキスをしてから
「大好きだよ。敏志」
止めの一言。
「ッ。ずるぃ‥‥」
もぅ、だめ。
心臓が。止まりそうだ。
俺、ちゃんと息出来てる?
まるで海で溺れてるみたいに、上手に呼吸が出来ないよ。翔のばか。あほ。あんぽんたん。
でも
「だいすき。」
やっと吐いた息は、愛の言葉を呟いた。
「ッ。」
瞬間、翔も顔もみるみる赤く染まってって
「きれ‥‥ぃ」
一瞬、息が止まる。
見惚れてしまったら、今度はちゃんと呼吸が出来るようになっていた。
「だッ!‥‥れが」
動揺する翔も、初めて見る。
真っ赤になった翔も。全部全部、ぜぇ~んぶ、
可愛い。
「翔が」
あぁヤバイ。顔が。頬が、緩む。
「ッッッ!」
声にならない声を出して?
「見んな!」
照れ隠しに、手近にあった枕を押し当てられた。
「ん゛~~~~!!」
折角呼吸出来るようになったのに、また苦しくなってしまう。
今度は物理的に。
「ぶは」
枕が軽くなって、両手でそれを退かしたら、もう翔の頭頂部しか見えなくなっていて、乳首に感じた滑り気に、翔の舌だとすぐに理解した。
「ン.ぁ」
厭らしく蠢いたかと思えばついばむように吸われ、吸い付いたかと思えば舐め上げられて、絶え間なく襲ってくる快楽に、腰が畝 ねるのが自分でも分かった。
「ぅわ。ァ。や‥‥ふゥ。ンッ」
こんな快感知らない。
全身を駆け巡る電流みたいな快感が、逃げ場を失って右往左往に暴れ回る。
生まれた快感は、どこから放出されるのか。
そのくらい俺だって知ってる。けど。
なんだか惜しい気がして、ひたすら我慢する。
「か。けるぅ‥‥」
ビクビクする身体が自分では抑え切れなくて、声を震わせ、途絶えさせる。
「ン.はあァ‥‥」
吐息を漏らしたのは、俺じゃなくて、翔。
きっと俺と同じに、名前を呼ばれるって、なんか『特別』、なんだろうな。
翔も同じ気持ちなのが嬉しくて、また名前を呼ぼうと口を開いたら、手で塞がれた。
「それ。堪んないから、だめ」
エロい表情で下から見上げて来る翔に、また欲情させられたのがなんだか不公平な気がして、手を退かそうと両手で掴んだのと同時に、俺の自身が温もりに包まれた。
滑り気から、それが翔の口腔内だと簡単に察する事が出来る。
それを証明するみたいに、さっきと同じように舌が蠢き、舐め上げ、吸い上げる。
「ンはぁッッ!!」
身体が反応で仰け反り、退かそうと思っていたハズの腕にしがみつくと、拍子に指が口の中に入ってしまった。
「ぅ。ぐ」
傷付けてしまわないように軽く口を開けたら、その指に舌を絡め取られ、掻き回される。
「ふ。ぅ、ンん」
だめだ。全身の力が抜ける。
もう、思考回路も上手く回らず、欲望と快楽だけが全身を巡って行く。
零れ落ちる唾液に、脳が溶けて出て行ってしまったんじゃないかとすら錯覚を起こしながらも、下半身から与え続けられる、翔の口唇が生み出す快楽に意識を持って行かれる。
「ジュ、ルッ」
大きく厭らしい音を立てて、強めに吸いつかれると、それに引き摺られるように俺の欲望も放出され、翔の口腔内を満たしてしまった。
放出の快楽に身震いしながらも翔に視線を移すと、それに気付いたのか、翔も咥えた状態はそのままに、視線を寄越して目だけで“ふっ”と微笑み、ゴクリと喉を鳴らした。
「ぅッ。ッ、ッえぇッろッ!」
「!ンむッ」
咥えたままだったせいで、また欲情して硬さを取り戻した俺の隆起を、口腔内で味わうハメになった翔が一瞬たじろぐ。
「ぅわ。ごめん!」
ほとんど俺のせいじゃないけど(断定)咄嗟に謝って、身を起こす。
それでようやく翔が、それも意図的なのか
「にチュ。」と音を立てて口を離した。
「お前、元気な」
そう言って笑う顔は、上気してピンク色で、熟れて濡れていて、ほんのり涙目だったから、欲を出したばかりのハズのソコは、速攻ガチガチ。
「翔のせいでしょ」
本気でそう言って、俺の性を飲みきれず汚れたままの口唇を喰む。
「ん。ゥ」
そのままお互いの舌を貪って、翔の欲も煽っているうちに、気付けば俺の方がまた組み敷かれていた。
そこまで持ち込まれてから口唇を離して、翔が耳元で囁く。
「じゃ、責任取るから。」
「せきに、ん?」
言葉が脳に到達するより早く、翔が俺の下腹部に跨り、俺のソコを指先で包むと、自分の秘所へと押し当てた。
「こんだけ濡らしたんだ。イケる」
誰に言うとでもなく言葉にすると、グッとソコに身を沈める。
「あ。ッんン」
痛いのか、快感なのか、身体がブルッと波打つ。
「かけ、る」
翔を心配するつもりが、口腔内とは違った熱と圧迫感に意識を持って行かれる。
「ィや。ま、ッ、て」
思いがけない快楽が一気に脳天を貫いて
「さ。としィィい」
名前を呼ばれて、根元まで飲み込まれて。
「ンぁ、あァッッ」
これ以上無い幸せに、挿れただけで果ててしまう自分が、情けなかった。
「ん、ァッ。キテ、る」
そんな俺の放出をナカで感じてる翔が、その事を俺に伝えるから、そのエロさにまた、隆起する。
どんだけ元気なんだ、俺。
自分で自分に呆れながらも、反面これで少しは翔を満たしてあげられるかもと安堵する。
「敏志、若ぃね」
荒い息で喋るから、翔が何を言ってもエロく聞こえて仕方がない。
「言ったでしょ。翔が、エロいのが悪いの」
その仕返しのように、下から翔を突いてやる
「ン。あはァッ」
体内で受け止めた俺の迸りが、ナカでも潤滑油の役割を果たしてくれて、漏れ聞こえる音が「ぐじゅぐじゅ」と厭らしく響く。
「ふ、ゥン。だ。め」
翔の、息が抜けるような声は俺の性欲を無限に引き出すみたいだ。
もっと聞きたい。もっと泣かせたい。もっと突きたい。もっと。もっと。
そうして欲望のままに翔を突き上げて行くうちに、教わったわけでもないのに腰を押さえつけ、根元まで深く何度も何度も貫いた。
2回も達った後だったせいか、随分長持ちして少しは翔を悦ばせてあげられたと思う。
向き合ってシてたから、翔が感じているのは目の前で分かったし、自分の胸に掛けられた迸りも、愛おしくて指で絡めて舐め取った。
「恥ずかしい」とか言われたけど、先に飲み込んだのは翔の方だったから、それ以上は反論させなかった。
そうしてその日は何度も抱き合って1日を過ごした。
* * * *
「俺。ちっちゃいから満足出来なかったんじゃない?」
疲れ果てて並んで添い寝してたベッドの上。
つい不安が口を吐いた。
「まさかぁ!」
意外。というように目を見張る翔に、こっちがビックリだ。
「そうなの?」
でもそれは俺に気を使って言ってくれてる気がして、素直に喜べない。
「ぉん。だって俺、初めてだったもん」
あんまりサラッと言うもんだから、聞き逃してしまう所だった。
「、えッ!?」
一拍遅れたのはそのせいだ。
驚いて振り返ると、子供みたいな悪戯な目とぶつかる。
「ちょっと考えりゃ分かるだろ?
俺、ずっと友達居ないじゃん」
言われてみればそうだ。
でも
「兄ちゃん、とは?」
何も無かったとは思えない。
だってあんなに、想い合ってた。
「キスまでだろうが。
体に負担掛かるような事、する訳‥‥
出来る訳、無ぃ、だろ?」
わざわざ言い直してくれた。と言うか、直さざるを得なかったと言うか。
兄ちゃんが、あんなに病状の悪かった兄ちゃんが、そんな事出来るハズも無かったんだ。
本当、『ちょっと考えれば分かる』事じゃん
「なんか、ごめん」
しんみりした空気が流れて、つい、なんとなしに謝ってしまった。
「‥‥何に、対して?」
翔の不安そうな声で、我に還る。
「俺と、寝ちゃった、事?」
言葉が、途切れ途切れになってる。
翔を、不安にさせてしまった自分に腹が立つ。
「違う違う!
せっかく両想いになれて、幸せな気分だったのに、しんみり‥‥させちゃって。」
言いながら、自分までもがしんみりしてしまう。
「なぁんだ。ビックリさせんなよ」
そんな俺の頬を優しく撫でて、暖かい微笑みをくれる。
「だからそれは、それで良いんだって。
優一を、一緒に想っててやれんのが、俺達でしょうが」
むにゅ。と、撫でていた頬を抓られる。
「ひゃい。ひゅいまひぇん」
そのまま謝ったら、笑われた。
やっぱ翔最高。だいすき。
「あれ?でも全然痛そうじゃなかったじゃん。
初めての割に」
ホッとしたら、最初の疑問がまた湧いて来た。
「いや。だからさ。」
一瞬言い淀んで
「中学生のチンコだから、未発達だから、イケるかなーと思ってさ。実際、痛みもさほど感じなくて済んだし」
なるほど。ちっちゃいのが、幸いした、のね。
俺に気遣って、“ちっちゃい”って単語は一切使わないのが、翔の優しさなんだなぁと、実感する。
「俺だって初めては怖いからさ。
でも初めての相手が敏志で良かったよ、いろんな意味で。
、、、キモチ、ィかったし。」
そしてまた、一瞬躊躇するように言い淀んで
「敏志の成長に合わせて、俺も慣れて行けるからさ。その‥‥」
今度は何故か顔を真っ赤にしてから
「俺を、開発してってよ」
言い終えてから、グルッと背中を向けてしまった。
後ろから見ても分かり易く真っ赤になった翔から、湯気が出てんじゃないかってくらいの熱が伝わって来るもんだから、安直な俺はまた、まんまと勃起させられてしまったのだった。
今日は、家に帰れそうもない。
END
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