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おまけ◎
「むっちゃぁん、俺鍵掛けてくから、先出ててー」
「ぁあー、ぅーん」
ふたり分の傘を持ち扉を出ると、なんだか見慣れた光景。
「あれ?すげー、俺のアパートと外装そっくりー。見える景色も。」
室内の玲央に聞こえるように独り言を良いながら、出てきた玲央が鍵を閉めるのを眺めつつ
「もしかして近所?」
確認してみると
「え。本当に全く記憶無いんだね」
ちょっと驚いた風な声音に
「ん???????」
頭いっぱいのクエスチョンマーク。
それにクスッと笑った玲央の、指で指し示す方向に視線をやると。
『立花』
の表札。
その辺にあったカレンダーを適当に切り抜いて、手元にあったボールペンで書いた、俺の字。
「え!?
と、となりィ!!!?????」
いっそ裏声になってしまった俺を、うひゃひゃと一通り楽しそうに笑った玲央が、道すがら説明してくれた。
玲央が、コンビニに寄った帰りに俺を見かけて、恋心を抱いていた事。
つい後を着けたら、隣の部屋だった事。
夜中に誰か(元彼だね)と怒鳴り合う声と、その彼が帰った後に泣き声が聞こえてしまった事。
それで、別れた事を知って、接触を試みようと案を練ってた所に、酔っ払った俺が自分の部屋の前で寝てるのを発見して、玲央の部屋に招き入れてくれた事。
そうしてようやく全体像が見えて来た頃、ふいに玲央から
「どうせだから一緒に暮らさない?」
なんて提案が上がった。
「考えとく」
とか答えてみたけど、気持ちはほとんど固まってた、ってのは、多分、
モロバレ。
とりあえず、セックスの回数制限はしないと仕事になんないから、ソコだけはしっかり主張しよう。と、心に固く誓う睦なのだった。
END
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