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プロローグ
不定期に活動する部活。もう一つ入っている部活をメインにしているから、そっちが平日に休みの時じゃない限りこの部活は活動できない。部員はオレ一人だから問題はないんだけど。
部活を行う場所は自分の教室。たまに居残りで勉強している生徒がいると、違う空いている教室を使うけど大体みんな帰ってるからいない。カーテンを閉め切って、教室に部室の看板を立てかける。
SNSで今日部活を行うことを予告してある。そして、その時に予約も取っている。予約を取る部活って? それはね。
――ガラガラ
「はーい、いらっしゃい。いおっちょの占いの館にようこそ!」
今日最後のお客さんが入ってきた。この部活は、表の看板にも書いてある通り『占い部』。不定期でオレがみんなの悩みを解決するために占うよーって部。
教室は暗くしていて、ぶつからないように大体の机を後ろに下げていて、二つだけ用意してある。LEDの明かりをオレの机の上と座ってもらう椅子の机に置いてあるからそこに向かって歩いてきてもらう。
さてさて、今日最後のお客さんのお悩みは何かな?
予約をもらったときに事前に悩みの内容は貰っている。スマホを見て悩みの内容を見た。
「凛さんは、好きな人がいるけれどその人が自分のことを好きかどうか悩んでいらっしゃる。そうですね?」
こくりと相手が頷く。
よくあるパターンのお悩み。たまに、いや……どういう悩み? って言うのもあるけどそういうのじゃなくてよかった。そういうのだと長引くから。最後だし、もうすぐ下校時間になるからちょうどいいお悩みだ。
「では、占いますね」
オレが得意な占いは水晶占い。水晶にぼんやり浮かんでくるものを見て、どうなるのかとかどうすればいいのかとかそういうのを告げる。
えーと……何々。
「相手から凛さんからの好意を嫌がる様子も見られないので、安心して距離を詰めていいと思いますよ」
相手からの好意も見受けられないけど。そのあたりはうまくぼかすのがコツ。
にこりと笑って答える。教室は暗いし、LEDライトが二つあるだけだから、相手からはオレの水晶にかざす手と口元ぐらいしか見えないだろうから口元の表情を豊かにするよう心掛けている。お互いの顔が見えないようにするのがマナーってもんだ。
「当たるって聞いたから来たけど、大したことないな」
は?
相手が初めて口を開いたと思えば、生意気なことを言ってきた。なんだなんだ、クレーマーか? よくあるパターンのお悩みだって安心してたけど、めんどくさい相手だったか?
「それは、相手からの好意が見受けられないということでしょうか?」
穏便に解決するため、探る。何が気に入らなかった? もうちょっと情報もらっておくべきだったな。自由記入欄全然記入してこなかったから情報がお悩みしかない。
「俺、好きな人いないからアンタの占い外れてるよ」
それだけ言い残して教室を出て行ってしまった。
「はぁ!!???????!!!!!!!」
今日一番の大声は、下校の放送によってかき消された。
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