「いや～、そのジュース久々に見たなと思って」 とりあえず無難な話題から。そんなジュース売ってることさえ知らなかったマイナーなものを飲んでいる。『トマト＆ピーナツ風味リンゴジュース』って美味しいのか。 怪訝そうな顔からちょっと驚いたような顔に変わった。 「最近復刻されたんだよ。小さいときに飲んでたから懐かしくて」 そんなの飲んでたの？　幼少期。絶対味覚壊れたでしょ。 「へ～！　オレはあれが好きだったな～。パイナップルと……」 「パイナップルときゅうり？」 「そうそう！」 あんのかよ。 適当に言ったらあっちゃったよ。その会社そんな攻めた商品ばっか出して大丈夫？　でも今まで存在してるってことは、お遊びで出してるのか。 なんだかあっちの気分が乗ってきた気がする。 そのジュースそんなに好き？　もっと世の中には美味しいもんあると思うよ。 「これ飲んでると信じられないような目で見られるから、同じ話題で話せる人いるとは思わなかった」 いや、オレも知らない。 ちょっと嬉しそうな顔してくるから、良心が痛まないこともないが見て見ぬフリをした。