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第9話
「ところで坊主。お前、名前は思い出せねぇのか?」
「はい。全くなにも。」
「そうか。何か思い出した事は無ぇのか?」
「そう言えば。」
「ほぉ。?」
「多分、母の着物の色が黄緑色だった。」
「黄緑色ねぇ...それは春の明るい葉の様な色か?」
「はい。」
「それなら、決まりだ。
今日からお前の名を"青柳"(せいりゅう)としよう。縁起も良いぞ。」
「何故。」
「この世の天の世界にはな、我らと世界を守る神様がおられる。
そのお一人の名前が、"青龍"と言うのだ。
どうだ、響きが同じで良いだろう。」
「青柳、」
「どうだ。良いだろう。
お前が元の名を思い出せるまでは、その名を使うと良い。
昔は黄緑色を青柳(あおやぎ)と言っていたからなぁ。
その内、愛着が湧くかもしれんぞ?」
「そうだな。」
「ああ。案外そんなもんだ。気楽に行け、青柳。」
「...僕は、あんたをなんと呼べば良い。」
「師匠で良いぞ。」
「師匠、」
「なんだ、青柳?」
「何でも無い、呼んでみたんだ。
初めて言う言葉だから。」
お前可愛いな、と思う師匠。
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※きっと手塩にかけて育てた後は美味しく食うに違いない。
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