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「何か飲むか?」 黒川さんが気を使ってくれるけど首を横に振る 「そうか。昨日はすまなかった。」 ぼんやりと昨日の一連の出来事を思い出す 昨日?昨日!そうだ俺この人に勝手に噛まれたんだ! ガバっと起き上がると少し頭がクラクラする 「本当に何してくれてるんですか?運命とか何だか知らないですけど俺はオモチャじゃないですしこんな一方的に.....」 と言いながら情けなくなってくる。いくら一方的とは言え俺が抵抗を止めたのは事実だ。もう少し全力で暴れていたら何か違ったのかも知れないが後の祭り。思わず目にじわりと涙が浮かべると指先で拭われる。 「....ごめんな」 「昨日だって....妹の誕生日ケーキの.....」 は......誕生日.....家に連絡してない。今まで無断外泊どころか外泊すらそんなにした事がないから家族はきっと今頃パニックだろう 「なに一人で百面相してるんだ」 「スマホ!俺のスマホどこですか!」 ん。と差し出されたスマホを受け取り電源をつけると 父、母、妹からそれぞれ数えられない程の着信やメールが来ていた。これは完全にやってしまった.......。 「母さんか...よし、送るついでに挨拶しに行く」 「は?」 チラリ俺のとスマホを覗き込んだ黒川さんはとんでもない事を言い出す。思わず間抜けな声が出た。 「いや、何言ってんですか」 「息子さんを下さいってヤツやらせろよ」 呆れた。楽しそうな顔するのは勝手だけど。後ろには見えない尻尾がブンブン揺れているしもう着替え始めている。 「.....おれ....一人で帰ります.....」 「駄目だ。帰り道分からないだろ。それに危ないしまた発情したらどうする」 「発情?俺 発情したんですか?」 思わず食い気味でベッドから乗り出した俺を黒川さんは何を考えているか分からない顔で見つめてくる。 「...はぁ..お前..。あぁ。好き好き〜ちゅうして〜!って凄かったぞ」 「.....嘘つけ....もしそうなってたとしてもアンタのせいだろ。勝手に噛むとか最低じゃん」 好き好き〜ちゅうして〜!とか言った覚えないし。まぁ昨日は噛まれてからの記憶なんてほぼ無いけど。 もう有り得ないこの人。ムッとして制服を着る。

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