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制服を着終わると有無を言わさず『絶対送っていくからな』と凄い圧で言われたので渋々、二人でマンションを出る
エントランス前にはあの重厚感ある車が待機していた
本当にそっち系の危ない仕事関係の人なのかな...厳ついスーツの運転手が待機とか普通にないだろ。
黒川さんは靴をコツコツ鳴らしながら車に寄り、運転席の窓を叩いた
「降りろ。俺が運転する。お前はここで立ってろ」
「で、ですが若」
ウィーンと下がった窓から困ったような顔がのぞく
その人は中々運転席から出てこない
困ったっていうか焦ってるって言うか...とりあえず運転させたくないみたいな雰囲気
「わ、若....って、…」
「おい」
『若』ってマジ?まじでそういう銃とかアウトローな感じ?思わず黒川さんの顔を見る。
黒川さんがじろりと睨むと『すみません若ァ!!』と言いながら転げ落ちるように出てきた運転手さん
「若っていうのは気にするな。出るぞ」
「ハイ。」
色々気にするなって言うのは無理があるこの人が番だなんて信じたくない。運転している彼からは甘い香りが絶えずふわふわと漂ってきて頭がぼーっとする
色々いけ好かないし認めたくないけど運転する姿が少しカッコよかったのは事実だ。
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