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お泊まり side黒川 廉

コンビニの駐車場に車を停める。現在朝の8時30分。待ち合わせまであと30分‪もある 「....フッ」 昨夜、遠足前日の子供みたいにワクワクしてろくに眠れなかったのを思い出して笑う。今日も待ち合わせにしては早い到着だ。今日は柄にもなく髪にワックスを付けて流した。髭もそこまで生える体質じゃないのに剃ってみたり。香水はいつもより1プッシュ多くつけたから逆に臭くないか心配だ 9時って少し早すぎたか?朝メシ食ったかなあいつ 「らっしゃーせ〜」 何か買っとくか、とコンビニに入店しパンとおにぎりと数種類の菓子とか飲み物なんかを手当り次第カゴに放り込みそのままレジで会計 車に戻るとまだ8時40分 あいつが来るまであと20分。長いのか短いのか分からないしソワソワして落ち着かない。 心を落ち着ける為にここから近くでウロウロできる場所を検索する。今の高校生って何して遊ぶんだ?俺とそこまで歳は離れてないけど時代は常に変化してるしな。 まぁ住む世界が違うから『遊ぶ』の意味も違うか....と少し切なくなっていると俺の左手の小指に巻き付いている『赤い糸』がピンと張った。 「お、来たか」 それが伸びる先はこちらに向かって走ってくる少年の右手小指 通学用バッグと多分着替えが入っている肩掛けバッグを持ちヨタヨタ走ってくる姿は男子高校生にしては可愛過ぎる 荷物を受け取ってやろうと思い運転席から出る はあはあと肩で息をしている華。 あ…ピアス、してる。昨日はなかった左右の耳についている青い石。真面目そうな顔してやる事やってんだな。 「おはようございます!お待たせしました!あ、ありがとうございます」 「いや今来たとこ。助手席乗ってて」 手を差し出すと、荷物を申し訳ない顔しながら渡してくる華。かわいいなと思いながらそれを隠すようにキリッと表情筋に力を入れ、気を引き締める 助手席に座っている華の隣に戻るとハンドルを持つ俺の左手と華の右手を繋ぐ『赤い糸』が視える あの日、俺が華を見つけた日。 初めてこれが視える人間で良かったと思った。 こんなの話しても信じてくれないだろうからまだ華には秘密だけどな

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