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マンションに着いた。エレベーターが止まったのはまさかの最上階。この間来た時は気付かなかったなぁ....。エレベーター、広いし全然音がしなかったし。ここ高そう.....。黒川さんがドアを開けてくれて先に玄関に入るとあの甘い匂いが強くなって少し目眩がした
「っ....お邪魔しま〜す」
「荷物は寝室に置いとくから、ソファ座ってろ」
「はい」
──ピンポーン
壁についたテレビの前に置かれた4人がけソファに腰を下ろすとちょうどインターホンが鳴る
立ち上がりモニターを見に行くと、カメラを何かで隠しているのか画面は真っ暗。怖いな....誰だろ
──ピンポーンピンポンピンポーン
「誰だ?宅配は一旦下で預かるはずだが」
「わかんないです」
寝室から戻ってきた黒川さんもモニターを見る
心当たりが無いらしい。その間もずっとインターホンは連打されている
『金条くーん!おはようございます!』
あ......この声.....早野さんかな?真っ暗にしてるのは白林さん?また明日って言ってたし早野さんはこんな事しなさそう。どちらかと言えば白林さんの方がイタズラ好きそうだし
「早野さんと優斗さんですかね?」
「だな。そこ、解錠って書いてある所押してみ」
言われた通りにポチッとボタンを押すと『ありがとー!!』とモニター越しに聞こえる。無事に解錠できたらしい
「よくできました」
「うるさいです」
ナデナデと小さい子にする様にされてその手を頭の上から振り払う。あ、まずかったかなと思い表情を伺うと機嫌良さげに目を細めていた
「それより、お前 優斗は白林さん呼びしろよ〜」
「優斗って呼べって言われました」
「バカ正直に呼ぶ必要ねーんだよ」
今度はワシャワシャと髪をかき混ぜられる
「どーしても呼びたいなら俺の事も下の名前で呼べよ。もちろん呼び捨てで『廉』ってな」
「、、、…嫌です」
それから『呼べ』『嫌』を二人で繰り返していると次は玄関のインターホンが鳴った
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