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2 side 黒川 廉

「おい廉お前どうした?」 「何が」 華と早野が書斎に向かうと同時に腕を組んでニヤニヤしだす白林。大体言いたい事は予想がつくが敢えてしらばっくれると、俺の隣にいそいそと移動してきて楽しそうに此方を覗き込んで来た 「ガトーショコラ大好きなお前が、他人に大好物を譲るって。槍でも降らせるつもりか?」 「別に。ガリガリだろあいつ。少しでも太らせねーと」 「廉が他人に『譲る』って。俺初めて見たかも。」 ズバッと言われ居心地が悪い 優斗の言う通り俺が『譲る』というのは初めてかもしれない。小学生の頃から優斗とは幼馴染だがその優斗にさえ何か譲ったという記憶はない。譲るって、負けを認めてるみたいでとてつもなく嫌だったから。だから誰にも譲らなくて良いように、負けないように、学生時代は何事に置いても常にトップを取っていたしそのお陰で他人に何かを譲る事はなかった。もちろん勉強やスポーツだけだ。あと家のアレコレ。道徳的な所での思いやりはキチンとできる。 「そーかよ。おめでとう」 「いや〜イイもん見たわ。あとお前、華くんには顔デレデレだよな。華くんはケーキしか見てなかったけど」 「うるせぇ」 「なぁ、『赤い糸』の話、したのか?」 これまでニヤニヤしていたのに急に真顔に変わる 俺も少し背筋を伸ばした 「いや、信じてくれなさそうだからしてない。」 「してねぇのかよ〜!お前このままだと変人ポジだぞ?」 確かに…。初対面で名乗りもせず『運命の番だ』とかなんとか言って半強制的に番になって拉致って射精させて…って、かなり危ない奴になってねぇか俺…? でも今更、俺には赤い糸ってやつが見えるんだ。なんて言っても更に変人度が増すだけじゃないか? 「まぁ色々話し合っ」 「黒川さん!!!!」 「っづ、!!!」 一瞬なにが起こったか分からなかった。優斗が何か喋っていたら急にデコと後頭部に強い痛みに襲われた。 視界に広がるのは多分テーブル。いやテーブル以外ありえないんだが。 どうやら背後からテーブルに頭をガツンと押し付けられたらしい。仕事柄、常に気を抜かないようにしているのにここには敵はいないからと油断しすぎた 「早野、いくら早野でも若に手ェ出すのは黙認できない」 「黒川さん最低ですね。見損ないましたよ」 珍しく若頭の右腕として対応する優斗の声と感情のない早野の声 華は?あいつは?と思うが声が聞こえないからまだ書斎にいるんだろう。 「痛てーんだけど」 「こんなの金条くんが感じた痛みの比ではないです」 ──華が感じた痛み?

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