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可愛らしい音楽が流れ、ソーサーが回り出す。 周囲はカップルや家族連ればかりでキャッキャとはしゃぎながらカップをくるくる回しているのに、俺達が乗っているのはピクリとも動いていない。 当たり前だ。黒川さんは優雅に腕と脚を組んでいるし、俺は俺で勝手に回していいものだろうか、と様子見しているんだから。 「ま、回さないんですか」 「お前気分悪くないのか?大丈夫か?」 「だっ、大丈夫です!!回さないなら俺が回しますから!」 てっきりこんな可愛いのに付き合ってくれるって思ってなかったし、真剣な顔で体調の心配までされて、照れくさい。中心の銀のプレートに手を伸ばし、目一杯力を込めてぐるんと回す 「っん〜」 「喘ぐな」 「ばっ、!喘いでないし!!!」 先程の笑みは何処へ、と言いたくなる様なニヤニヤ顔で意地悪を言われる 想像以上に重かっただけだし!!怒りや恥ずかしさやらで、わなわなと手を震わせながらもう一回ぐるんと回した所で音楽が止まり、全体の動きも止まった 「…」 「終わったな、いつまで赤くなってんだ、行くぞ」 「…」 コーヒーカップを離れ、お腹も空いたなという事で、またさっきのフードコートに戻ってきた。座ってろと言われ大人しく待っているとハンバーガーセットを二つ持って戻ってきた黒川さん 「ありがとうございます」 「おう、あのさ、俺ら付き合わね?」 「あ、はい。…え?」 「男に二言は無いな?」 「え?は?」 バーガーを手渡ししながらサラっとそう言ってきた黒川さん。まるで『明日出掛けない?』と誘ってくるようなテンションだ。思わず手に力が入り、せっかくのバーガーが少し潰れた。

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